■ 公開シンポジウム
第三項と〈世界像の転換〉 新しい学習指導要領とどう向き合うか
――あまんきみこ「白いぼうし」の〈読み方〉を例に――■
文学教育を推進してきた民間教育諸団体は、「文学を文学として読む」をテーマに掲げ、文学作品の〈読み〉を抑圧する制度性を批判し、あるべき〈読み方〉を提案してきました。とりわけ、近年の「単元を貫く言語活動」の「読まない文学の授業」の制度化を厳しく批判してきました。指導案に言語活動分析はあっても教材論はありません。
一方、文学教材の〈読み〉の授業では、ポストモダンの「〈読み〉のアナーキー」が提起した問題と十分に対峙しないまま、正解を温存した「あれもいい、これもいい」が矛盾を生んでいます。
今、私たちは自閉した〈読み〉の相対化で賑わう教室の中で、「主体的・対話的で深い学び」問題と向き合わなければならなくなっています。どのような〈読み方〉が文学作品の価値を引き出し、読み手に新しい価値をもたらすのでしょうか。文学教育はどこに向かわなければならないのでしょうか。「文学作品の《他者》とは何か?」が問われています。
本シンポジウムは、新「学習指導要領」をどう評価し、これからの文学作品の〈読み〉はどうあるべきなのかを参加者全員で徹底討議するために開催いたします。小学校四年の文学教材「白いぼうし」をとりあげ議論を深めたいと考えます。
日文協国語教育部会の本年度のテーマ「第三項と〈世界像の転換〉」は、「主体」と「主体が捉えた客体」という二項による世界像ではなく、その向こうに客体そのものである第三項を必須とする〈世界像の転換〉を意味し、さらに近代小説・近代童話の〈語り〉は〈語ることの背理・虚偽〉(=客体の対象を捉えようとする瞬間、主体のフィルターがかかった対象と化す)の問題を抱え込んでおり、これを超えていこうとするものです。
シンポジウムでは、基調報告を基に文学教育の民間教育団体を牽引されてこられた三人の方々と論点を絞り込み、議論をフロアーにひろげます。これからの文学教育の地平をどう拓くかを個人の立場で議論していただきます。
広く皆さまのご参加をお待ちします。
日時 2017年5月21日(日) 1時開場・1時半開始・5時終了
(終了後、懇親会有り。懇親会の受付は当日行います。)
会場 中央大学駿河台記念館 510教室
交通 JR中央線 御茶ノ水駅・聖橋口より徒歩3分
討論者
(基調報告) 中村龍一(松蔭大学)
三輪民子(元埼玉県小学校)
山中吾郎(大東文化大学)
今井成司(元東京都小学校)
司会 藤原和好(三重大学名誉教授)
参加費 1000円(事前申し込みは不要です。)
連絡先 日本文学協会事務局 03(3941)2740
日本文学協会国語教育部会
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