■ 公開シンポジウム「〈語り〉を読むとはどういうことか」 ■
今日、国語科教育においては、文学作品を読むことによる教育、すなわち文学教育の問題が改めて注目されています。このことは、新しい中学校学習指導要領が「物語や小説などを読んで批評すること」という言語活動の例を示したことからもうかがえます。「言語文化」としての「文学の教材価値」に注目が集まっているのです。
私たちは、文学教材を読むことの焦点は、作品の〈語り〉と〈文脈〉を読むことにあると考えて研究と実践を積み重ねてきました。具体的には、言語の実体論と非実体論の双方を超え出て、問題を「第三項」の領域で論じ、「機能としての語り」の問題を探究の対象としてきました。このことが「言語論的転回」によって出現したアナーキーに正対し、さらなる転回の展望を切り拓いていくことになると考えているからです。
近年、文学作品の〈語り〉を読むことは、教材研究の場や民間教育研究団体においても注目されるようになってきました。しかし、〈語り〉を読むということの中身は、論者によってその内実が異なっているのが現状であるように思えます。
そこで部会では、改めて「〈語り〉を読むとはどういうことか」というテーマを立てて、部会の外からも問題提起者をお招きし、この問題に対する考察を深めたいと考えました。
シンポジウムには、全国大学国語教育学会常任理事の望月善次氏 (盛岡大学学長・岩手大学名誉教授)、日本語文法研究者の鈴木康之氏(大東文化大学名誉教授)のお二人をゲスト・パネラーとしてお招きしました。
ポストモダンなどと呼ばれた思潮が終焉し、その後の展望が見えないのが現代という時代です。私たちは「ポスト・ポストモダン」という語を用いて、ポストモダン以降の国語科教育の地平を展望したいと考えています。
どうぞ、ご参加ください。お待ちしております。
・日時 2010年5月15日(土)
13時開場・13時半開始・17時終了
・会場 拓殖大学(文京キャンパス・国際教育会館)
・交通 東京メトロ・丸ノ内線 茗荷谷駅下車 徒歩5分
・問題提起 野 光男(東京都立産業技術高等専門学校)
望月 善次(盛岡大学学長・岩手大学名誉教授)
鈴木 康之(大東文化大学名誉教授)
・司会 佐野 正俊(拓殖大学)
・資料代 五百円(事前申込不要・どなたでもご参加になれます)
日本文学協会国語教育部会
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