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3月号特集 古代文学における「成立」をめぐって


 文学研究において、テキストの「成立」は主要なテーマの一つとして論じられてきた。特に古代文学では、その「成立」の経緯をかたる外部資料が少ない。だからこそ、内部のさまざまな徴証に目を配り、成立過程を見通そうとする研究がなされてきた。たとえば、『日本書紀』研究においてα群、β群の区分論が成立過程を反映しているとする説、『伊勢物語』は段階を経て増補されたと見る説、また、『源氏物語』はあるグループの巻々が後記挿入されたとする説などが提唱された。それらの成果は、テキストの「成立」のみならず、生成や成長といった事象を捉える視座も含めて、後の諸研究に大きな影響を与えることとなった。
 近年でも「成立」の考察はなされているが、多様な論文が提出され、研究方法も細分化されている状況下では、「成立」に関する従来の研究を広く見渡して検討することは難しくなっているように見える。そこで、多くの知見が積み重ねられている現在の地点から、改めて古代文学における「成立」についての議論を見直してみたい。
 通説となっているかに見える「成立」論と今一度向き合い、その研究史を批判的に整理することも、新しい知見を得るための一つの方法だろう。また、そもそも古代における文学テキストの「成立」とはいったいどのような事態を指しているのか、何が「成立」とされてきたのかを問うことも、これまでの研究を批判的に継承する上での重要な一視点となるだろう。
 本特集は、古代文学における「成立」について広く検討を促すものである。従来の意味でのテキストの「成立」を考察する論考から、「成立」について新たな切り口を提示する論考まで、多様な論点が寄せられることを期待したい。



     記

 一、締切 2025年12月15日 正午必着

 一、応募方法 新投稿規程を参照


『日本文学』編集委員会


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