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7月号特集 実用と文学


 「実学」という言葉を頻々に聞くようになって久しい。実用に足る学問の方が学ぶ価値があるという漠然とした理解とともに、実学でない学問の代表とでもいうかのように、文学部が揶揄されることも珍しくないのではなかろうか。
 実学とは、『日本国語大辞典』によれば「習った知識や技術がそのまま社会生活に役立つような学問」だという。しかし、学問のどこで、社会に役立つか役立たないかを線引きできるのだろうか。
 そもそも文学とは、基本的な学問の一つであり、その昔は学問そのものを指す言葉でもあった。
 その一方で、文学部に対する見方が偏る遠因の一つに、高校の国語の授業がそのまま文学部で学ぶ内容だと思われていることもあるように思う。実際には、文学部で扱うテキストは、高校生の多くが思っているような詩歌・小説・戯曲・随筆・評論など文芸作品以外の場合も多い。その文学部の幅広さをもう少し積極的に発信していくことは、文学部志望者の裾野を広げることにつながるのではなかろうか。
 さて近世は、非常に幅広い分野の書籍が出版された時代である。そのため、実用書に分類されるような作品も既に多く研究されてきた。一方で、文芸作品についても、例えば仮名草子を説明する際、教訓性、娯楽性、実用性が特徴として挙げられるように、色々な要素を含んだ作品が存在している。つまり、「実用」に値するかしないかの境界の曖昧さについて、自覚的な時代ともいえる。
 以上を踏まえ、今回の特集では、「実用」を視座に論考を求めたい。それは結果として学際的な研究を含めることになるかもしれないが、文学の幅広さを再確認することを目指す視座である。「実用」という言葉の解釈も含め、取り上げる作品が実用書であっても、文芸作品であっても、今後の学界に資するような新しい視点を期待したい。

     記

 一、締切 2024年4月15日

 一、枚数 35枚(400字詰)以内

『日本文学』編集委員会


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