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3月号特集 古代文学 文学史を問い直す


 古代文学における文学史の認識は現在、どのように変わってきているのだろう。
 「歴史学」「思想」「文学」といった学問分野や「散文」「歌」「神話」「物語」「日記文学」等とジャンルを区分する概念は、元来は往還するところのあった前近代の多様なテクストを区分するものであり、その限界はすでに見え始めているといってよいだろう。
 たとえば「物語」とも「日記」とも題される『和泉式部日記』は、三人称がみられることを理由の一つとして「物語」に分類できるとみられてきた。しかし現代では、日本語になじまぬ「人称」概念の適用に疑義が抱かれている。ならば、西洋概念の呪縛から解き放たれた立場からは、どのような捉え直しが拓けてくるのだろうか。
 ジャンルという視点から離れて、書き手が男性か女性かによる類似性や異質性ももっと問われてもよいだろうし、「真名」たる漢文テクストも仮名テクストと同様の精しさをもって文学史の視野に収めるべきだろう。さらには和歌からみた場合、仮名散文との関係や時代区分については現在、どう捉えられているのだろうか。書記された文学と口承文学との連続性・断絶性はどう考えれば良いのだろう。
 あるいは近年、万葉仮名への認識があらたまったことにより、平仮名との関係性も問い直されている。『古今和歌集』前後に仮名で書くことの可能性を追求する気運が生じていたことへの注目とあいまって、文学史への視線も大きく変化していると思われる。
 研究者の立ち位置によって、見据えている文学史はかなり異なっているはずだ。神話・歌・物語・日記ほか、それぞれの立場から多角的に照らし出すことによって、古代文学史の現状を浮かび上がらせ、文学研究の新たな切り口を探ることを狙ったテーマである。古代文学の「史」を、どのようにつかみ、描くことができるだろうか。既存の枠にとらわれぬ意欲的な投稿を期待したい。


     記

 一、締切 2023年12月15日

 一、枚数 35枚(400字詰)以内

『日本文学』編集委員会


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