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6月号特集 東アジアの中の中世文学

 
 「東アジアの中の中世文学」という本特集のテーマは、東アジア圏で発達した宗教・文学・芸能等の中世文学における受容の問題について、同圏内の動向を統一的、構造的に論じ、一つの文化史的な流れとして把握し、昭和・平成と発展した研究動向を今一度振り返り、今後の道筋を描こうという意図に基づく。近年はベトナムなど元々漢字文化圏であった地域を含めたアジアの広範な文化圏へと研究が拡大する動きも見られる。抄物(漢文注釈書)、縁起や軍記等と深い結びつきを見せる唱導文献等は、正統的な漢文から逸脱するその口承性ゆえにかえって強く中世文学の基調をなしているものと見なす方向性もあり得るだろう。また、中世文学への影響の中心となるのは宋、元、明、三代の学問・宗教・芸術と日本の中世社会の交渉であろう。
 方法論的に参照すべきものとしては、「幽玄」という美的概念を仏典や漢詩における用例とその日本的な受容を精密な具体例の検討を通して検証した『谷山茂著作集1 幽玄』(角川書店、一九八二年)、「鎌倉末期には、朝廷や寺院社会の周辺でさかんに講じられた」宋学の流行が「一三世紀後半以降、東アジアの激動する国際情勢を背景として、多くの知識人によって大陸の新しい儒学が学ばれた結果として」もたらされたものとする兵藤裕己氏の『後醍醐天皇』(岩波書店、二〇一八年)等が挙げられる。
 日本の漢文学は江戸時代に最も隆盛を極める時代を迎える。平安時代に次第に形骸化していった漢文学は中世にいかに展開し、近世の隆盛へと繋がったのだろうか。近年進展の著しい和漢聯句、瀟湘八景歌、宋学、五山文学、抄物、唱導等の研究分野には、中世から近世への文学史の展開をつなぐ鍵があるだろう。さまざまな分野、方面からの論考を期待したい。

     記

 一、締切 2021年3月15日
 一、枚数 35枚(400字詰)以内

『日本文学』編集委員会


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