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11月号特集 国語・文学教育における〈主体〉の位相

 
  「主体的・対話的で深い学び」という言葉を、アクティブ・ラーニングが謳われるようになってから頻繁に耳にする。この語は、現在の教育が直面する問題を示しているように映るが、この種の学びの必要性は、大正期にも提唱され、苅谷剛彦『追いついた近代 消えた近代』によれば、戦後もすでに一九六〇年代から議論されていた。
 すなわち、「主体的・対話的で深い学び」という標語は、長年にわたって希求されながらも達成されなかった事案なのである。近年では問題解決という目標に向けて、ビジネスの世界でも広く用いられているアイデア発想法、思考整理のメソッドが導入されているが、それらは本当に実をあげているのだろうか。
 こうした問題意識を踏まえつつ、本特集では、国語・文学教育において、どのような学びがおこなわれるべきであり、学習者が主体的に学びに参与することにいかなる意義があるのかを考えてみたい。この問いは、一九六〇年代からくり返されてきた議論の反復に留まらない、二〇二〇年代に必要な〈国語・文学教育における学習者の主体性〉を、構想することにも繋がっていく。
 こうした議論を進めるうえで戒めるべきは、従来の国語・文学教育を全面的に否定し、安易に教材や方法論の多様化礼賛に走ることだろう。単なる過去の焼きなおしに陥らないためには、具体的な方法の案出が欠かせない。
 〈主体〉をキーワードに据えた本特集では、国語科教員以外も文学の授業をおこなう国際バカロレア認定校での取り組みや、総合型学習における文学理論、グローバル化にさらされるなかでの古典・漢文教育など、幅広い課題について議論できるはずだ。初等・中等教育の現場で、確かな学びの得られる学習者参加型の授業は構想できるのか。グローバル化と多様化の進む時代に、文学を教える意義はどう変わるのか――これらの問題と正面から取り組んだ、意欲的な投稿を期待したい。

     記

 一、締切 2021年8月15日
 一、枚数 35枚(400字詰)以内

『日本文学』編集委員会


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