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11月号特集 《成長》の中の戦後日本文学再検討

  文学作品は常に社会の鏡となってきた側面がある。時に次の時代の潮流を生み出すダイナミズムを社会現象の中から見つけ出し、社会の変化の半歩先を行く。また時には人々の感性の指向を形に表し、時代とともに消費されてきた。そう考えたとき、日本の戦後文学は日本社会の何を映し出してきたと言えるのだろうか。
 第二次大戦後の混乱から脱して、一九五〇年代後半には「戦後」は終わったと言われ、高度経済成長の波に乗って日本社会は六〇年代から七〇年代半ばまで大きく変貌した。そこを起点として今年で半世紀が経過する。第一次石油危機、ロッキード事件などを経て高度経済成長終焉後の低成長時代、さらには八〇年代末期から九〇年代はバブル経済とその崩壊。そうした日本経済の変動は、日本人の価値観の変容を惹起した。とくに社会的倫理観、共同体意識、家族観、死生観、消費意識など、日本人の生き方に深くかかわる部分での変化があったのではないだろうか。
 五〇年代後半から九〇年代にかけての、高度経済成長から低成長、マイナス成長とまさに《成長》の夢と幻影を追い求めてきた戦後社会の中にあった日本文学の功罪を、文学と社会・文化の結びつきのあり方とともに再検討してみる必要はあるのではないか。決して、過去を失われた良き時代として懐古するつもりはない。むしろ、戦後文学のパースペクティブを一新してくれるような、刺激的な論考をお寄せいただきたいと願う。

     記

 一、締切 2010年8月20日
 一、枚数 35枚(400字詰)程度

                                              『日本文学』編集委員会