■清松大著『世紀転換期文学の思想空間
――明治文壇のニーチェ熱と宗教の季節』■
2024年3月31日 春風社刊 312頁 4000円+税 |
序章
一 世紀転換期の思想と宗教、そして文学
二 ニーチェ受容から宗教問題へ
三 本書の目的と方法
四 本書の構成
第一部 外来思想の移入と文学空間――ニーチェ受容を視座として
第一章 戯画化されるニーチェ――「滑稽」と「諷刺」の模倣
一 「美的生活」論争からニーチェ論争へ
二 坪内逍遙「馬骨人言」をめぐる論争の展開
三 「馬骨人言」から青年雑誌へ
四 「滑稽」と「諷刺」の効用
第二章 「衒学」をめぐる帝大閥と早稲田派の応酬
一 「滑稽」の効用と「衒学」批判の言説編成
二 「独逸語」と英訳をめぐる応酬
三 早稲田系論客から学閥を超えた批判へ
四 「偽学」から「衒学」へ
第三章 〈劇薬〉としての外来思想と宗教――ニーチェイズムとモルモン教の奇妙な結合
一 「内地雑居」とモルモン教
二 モルモン教の伝来をめぐる言説
三 文学系メディアにみるモルモン教イメージ
四 モルモン教の「一夫多妻」とニーチェイズム
五 〈劇薬〉としてのモルモン教とニーチェイズム
第二部 〈宗教〉の季節と文学――せめぎあう信仰と懐疑
第四章 明治期ハンセン病文学と「信心」のゆくえ
一 ハンセン病(者)をめぐる政策の展開
二 「血」と「遺伝」のインターテクスチュアリティ
三 素材としての「病」
四 「放浪癩」の場所と「信心」をめぐる言説
五 相剋する信仰と懐疑
第五章 宗教の「理想」と勧善懲悪――中村春雨のキリスト教小説を中心に
一 思想混乱の時代と「宗教小説」待望論
二 「宗教小説」としての「無花果」受容
三 科学と宗教をめぐる問題系と井上円了の唯物論攻撃
四 宗教的「理想」と「勧善懲悪」
五 「のぞみの星」結末における「宗教」の不在
第六章 「無信仰の文壇」からの(再)出発――中江兆民の『続一年有半』と「宗教」のロマン化
一 中江兆民の「無神無霊魂」説
二 『続一年有半』の波紋
三 宗教のロマン化と文学
四 田口掬汀『宗教文学』の位相
第三部 明治・大正の時代精神と永井荷風
第七章 「地獄の花」の同時代受容とニーチェ熱
一 「地獄の花」研究史とゾライズムの呪縛
二 「地獄の花」同時代受容とその特色
三 登張竹風「あらひ髪」と「ニーチェ思想=本能主義」
四 「ニーチェ主義者」としての小栗風葉
五 女性の「覚醒」をめぐる物語と「動物」をめぐる言説
第八章 錯綜する神秘主義と自然主義――洋行期荷風の音楽論生成をめぐって
一 『復活の曙光』受容と音楽的「神秘」観の獲得
二 音楽と共感覚・象徴主義
三 自然主義陣営の動向と「西洋音楽最近の傾向」
第九章 仮構される日露戦後空間――「父の恩」と〈民衆〉の問題系
一 「父の恩」という作品の問題
二 「父の恩」成立と大正期の都市騒乱
三 ニーチェ・ヴェルハーレンを通した〈民衆〉認識
四 「民衆詩人」としてのヴェルハーレン
五 「国民」から〈民衆〉へ
終章
一 宗教と科学、そして文学
二 新たな「文学史」叙述のために
初出一覧
あとがき
|
Copyright (C)2006 日本文学協会, All Rights Reserved.
|