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田村美由紀著
『口述筆記する文学――書くことの代行とジェンダー――』■

2023年8月10日 名古屋大学出版会刊 304頁 5800円+税


序章 口述筆記する文学
 1 口述筆記とはなにか
 2 〈もう一人の書き手〉を問う
 3 〈書かれた作品〉から〈書かれつつある現場〉へ
 4 本書の構成と概要


第Ⅰ部 ディスアビリティをめぐる交渉――口述筆記創作の現場から(1)

第1章 ペンを持てない男性作家――谷崎潤一郎の場合――
 1 書くことのディスアビリティ
 2 谷崎潤一郎と口述筆記
 3 口述筆記のジェンダー・ポリティクス
 4 リテラシーをめぐる評価と〈書かせる〉こと
 5 署名と実像のはざまで
第2章 「書く機械」になること――伊吹和子『われよりほかに』――
 1 筆記者・伊吹和子
 2 書く行為の代行とジェンダー
 3 「書く機械」になるという戦略
 4 作家であること、作家になること
 5 〈選別〉の論理


第Ⅱ部 書くことの協働性とケア――口述筆記創作の現場から(2)

第3章 ケアとしての口述筆記――筆記者たちの経験から考える――
 1 作家の労働空間とその編成
 2 ケアのニーズへの応答――上林暁と德廣睦子
 3 性役割の反転――三浦綾子と三浦光世
 4 関係を編み直す――大庭みな子と大庭利雄
 5 〈書く身体〉に伴走する
第4章 〈書かせる〉でもなく、〈書かされる〉でもなく――武田泰淳『目まいのする散歩』――
 1 武田泰淳と武田百合子の評価
 2 歩くことと書くこと
 3 自律的な主体像を疑う
 4 〈書かせる〉と〈書かされる〉のあいだ
 5 他者性と依存性


第Ⅲ部 言葉を媒介することとジェンダー――テクストのなかの口述筆記

第5章 〈媒体〉となる身体――円地文子「二世の縁 拾遺」――
 1 〈媒体〉としての筆記者
 2 女性筆記者の立場性
 3 「戦争未亡人」の性
 4 書記機械であることを裏切る身体
 5 〈媒介/霊媒〉としての女
第6章 再演される言葉――大江健三郎『みずから我が涙をぬぐいたまう日』『水死』――
 1 言葉の媒介者
 2 批判者としての女性
 3 自己批判の演劇
 4 声の文字化と女たちの連帯
 5 憑坐として語ること


第Ⅳ部 代行のポリティクス――口述筆記の向こうへ

第7章 創造性から逃れる――多和田葉子「無精卵」――
 1 〈書く〉ことと〈書き写す〉こと
 2 「無精卵」の読まれ方
 3 創造性を欠いた書き手たち
 4 単為生殖としての書くこと
 5 強制的異性愛の綻び
 6 暴力の痕跡を書き写す
 7 〈書き写す〉ことの先へ
第8章 書きかえられる物語――二つの「残虐記」をめぐって――
 1 二つの「残虐記」――谷崎潤一郎と桐野夏生
 2 戦後空間のなかの「残虐記」
 3 語り手は何を黙殺するのか
 4 もう一つのクィアな欲望
 5 「言葉」と「想像力」の物語
 6 事件を語り直すこと
 7 想像力の両義性
 8 「傷」をめぐる攻防

終章 ペンを持たない時代の口述筆記
 1 書字の機械化と身体性
 2 モチーフとしての口述筆記――現代の漫画を例に
 3 交差するフレーム


あとがき
初出一覧
索引


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