■安達原達晴著『分裂を生きる 島尾敏雄の戦争小説』■
2023年3月31日 翰林書房刊 308頁 3600円+税 |
はじめに
Ⅰ
第一章 〈公〉への方法的没入――「出発は遂に訪れず」論(1)
1.後半部の重要性
2.「信管」をめぐる言説
3.「疲れ」と空白
4.「私」の「心決め」
5.〈公〉と〈個〉の関係性
6.小説家の「出発」と時代の「区切り」
第二章 〈公〉と〈個〉に裂かれる自画像――「その夏の今は」論(1)
1.体験の〈終わり〉と〈始まり〉
2.〈背中〉の表象と隊長「私」
3.「日本刀」と〈武装化/非武装化〉
4.「裸鏡の中の自分」
5.「島にとどまる」ということ
6.〈南島〉との関係性の書き換え
7.本作の意義
Ⅱ
第三章 自画像の選択――「出発は遂に訪れず」論(2)
1.二つの草稿
2.「出孤島記」との比較から
3.「トエ」像の抽象化
4.主題の明確化
5.自画像の選択
第四章 両義的自画像の演出――「その夏の今は」論(2)
1.トエの家にて
2.〈非武装化〉と「鏡」
3.小括
Ⅲ
第五章 〈物語化〉の回避――「接触」論
1.「接触」の位置づけ
2.〈加害〉としての「私」
3.「決着」の回避
4.〈歴史的他者〉=(戦)死者をめぐり
5.過去回想形式の意味
Ⅳ
第六章 両義的自画像の起源――「魚雷艇学生」論(1)
1.特攻隊員の自己形成
2.「士官服」と「からだ」
3.歪む「私」
4.分裂する「私」
5.〈南島〉の発見
6.〈いま〉を問い返す語り
第七章 親和と異和――「魚雷艇学生」論(2)
1.〈公〉と〈個〉の揺らぎ
2.旅順と表忠塔
3.「私」と旅順
4.「幻影」の表忠塔
5.「無感動」と「故知らぬ悔い」
6.「涙」の意味
おわりに
付 (講演)草稿からみる小説家・島尾敏雄の方法 草稿画像資料
ⅰ「出発は遂に訪れず」
ⅱ「その夏の今は」
あとがき
初出一覧
索引
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