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小平麻衣子著『なぞること、切り裂くこと――虚構のジェンダー』■

2023年3月25日 以文社刊 300頁 2800円+税


序章 書くことを拒否しながら書く――田村俊子「女作者」の複雑さ
 1.小説とジェンダー
 2.装いとセクシュアリティ
 3.〈女性ならでは〉の書き方
 4.〈書きかえ〉という上演
 5.本書の構成

第一章 〈女性〉を立ち上げる困難――『青鞜』における小説ジャンルの揺らぎ
 1.評価の低い『青鞜』
 2.小説における女性の視点
 3.自己語りの形成と小説からの離脱
 4.事実重視が招く虚構
 5.小説の再登場と〈新しい女〉へのためらい
 6.書き続けることで共有される場

第二章 自然主義が消去した欲望――森田草平「煤烟」のマゾヒズム
 1.らいてうとの対立と「煤烟」の書きかえ
 2.「煤烟」評の地平
 3.語りの変容
 4.異なる演劇性
 5.マゾヒズムの描き方
 6.消去された欲望

第三章 大正教養派的〈個性〉とフェミニズム――田村俊子・鈴木悦の愛の陥穽
 1.恋愛と作風の転回
 2.鈴木悦が媒介する大正教養主義
 3.個性の探求と成長
 4.愛の暴力
 5.個性尊重の陥穽
 6.婦人という階級の発見へ

第四章 労働とロマンティシズムとモダン・ガール――『若草』の投稿者と林芙美子
 1.〈新しい女〉から〈モダン・ガール〉へ
 2.『赤い恋』と林芙美子
 3.文芸投稿雑誌『若草』は女性誌か
 4.プロレタリア化という多様性と排除
 5.文壇と異なる『若草』の林芙美子評価
 6.ロマンティックの飛翔

第五章 〈女性作家〉として生き延びる――林芙美子『放浪記』の変節
 1.『放浪記』の成立過程
 2.憐れみの対象としての貧窮へ
 3.男をめぐる〈放浪〉の削除
 4.時代性の消去
 5.戦時における抒情の転倒

第六章 盗用がオリジナルを超えるということ――太宰治『女生徒』と川端康成の〈少女〉幻想
 1.女性自身の執筆と〈女性らしさ〉
 2.有明淑日記における〈結婚〉
 3.「からつぽ」が高度な思索になるとき
 4.少女は〈女=子ども〉とは限らない
 5.女性労働の曖昧化と文学

第七章 紫式部は作家ではない――国文学研究の乱世と文芸創作
 1.板垣直子と三木清論争の周囲に
 2.〈鑑賞〉は教育か研究か
 3.国文学の〈批評〉化と作家
 4.古典を学べる教養雑誌『むらさき』
 5.あてびとの〈教養〉という矛盾
 6.「入会のおすすめ」と時局

第八章 戦後世界の見取り図を描く――野上彌生子『迷路』と田辺元の哲学
 1.近代を生き直す
 2.〈血〉における愛と暴力
 3.〈恐ろしく単純な思考〉の価値
 4.誰の視点からの歴史か
 5.飯田善國ノート「梨花」の再構成
 6.田辺元からの『迷路』評価
 7.万里子における田辺哲学と『迷路』の亀裂

第九章 女性作家という虚構――倉橋由美子『暗い旅』盗作疑惑の周辺
 1.女性作家の世代交代
 2.小山いと子「ダム・サイト」をめぐる〈芸術〉と〈事実〉
 3.倉橋由美子「パルタイ」から『暗い旅』へ
 4.江藤淳と〈女らしさ〉
 5.違和感を共有する装置としての「あなた」 むすびに代えて


初出一覧
あとがき
索引


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