■松井健児著『源氏物語に語られた風景 風景和文への招待』■
2022年5月25日 ぺりかん社刊 261頁 4500円+税 |
はじめに
序 章 風景和文の主題
1 語られた風景――『源氏物語』の風景へ
2 風景の語り方――風景観の現れ
3 風景和文――用語と方法
4 さまざまな自然――研究史素描
第一章 風景和文の形成――『源氏物語』の空間の成立
1 風景和文という叙法
2 「語ること」「示すこと」「歌うこと」――叙法の三つ組み
3 「示すこと」と移りゆき――発生的な連鎖
4 「歌うこと」と限(かぎ)り――きわまりとしての空間
5 型への志向――様式としての成熟
6 物語空間の成立へ
第二章 風景和文の理想――『源氏物語』の春秋の幻景
1 風景和文の創意
2 六条院舟楽の空間――示すことと歌うこと
3 花咲く樹下の水景――移りゆきと一対の揃(そろ)え
4 流水仙境に遊ぶ――競合と調和
5 住吉社頭の舞楽――重なりと見なし
6 幻想としての風景
第三章 風景和文の領域――『源氏物語』の演技する空間
1 空間と叙法――物語の時間
2 景物と恋情――和文脈と推移の感覚
3 風景と時間――予感の映像表現
4 景物の構成――意味への連絡
5 演技する空間――名の行為遂行性
第四章 風景和文の変容――『源氏物語』の景物の構成
1 表現としての風景――自然と気色(けしき)
2 風景表現の特異性――出来事の生起
3 解釈される風景――主体としての夕霧
4 自立する風景――景物の連続
5 風景和文の独自性――見なしと構成
6 変容する風景――新しい自然
第五章 風景和文の意匠――『源氏物語』の橋と鳥の形象
1 風景を整える――場面と状況
2 宇治の風景――照応する現在
3 宇治橋の映像――可視化された時間
4 橋と鵲(かささぎ)――共通と異質
5 鵲の名と図像――批評的言辞
6 風景和文の意匠性――状況の形象化
第六章 風景和文の遠近――『源氏物語』の接続する主体
1 風景和文と距離――世界との関係
2 遠景としての痛みと予兆――霞と水影(みずかげ)
3 浮遊する情動と質感――露と涙
4 世界の揺らぎと複数性――見ることと聞くこと
5 風景の接続する主体――世界への気づき
終 章 風景和文の思想
1 風景のリアル――現在の提示
2 風景和文の三つの局面――風景の名
3 風景和文の方法――運用と洗練
4 風景を名指す――『源氏物語』の風景
附章一 海辺の風景――『源氏物語』の須磨・明石から大堰(おおい)へ
1 郷愁の景
2 須磨の海辺――雁(かり)と楫(かじ)
3 須磨から明石へ――――磯と浜
4 明石の眺望――島の名
5 大堰(おおい)の水辺――篝火(かがりび)と漁火(いさりび)
6 幻景の自然
附章二 よい匂いのする情景――『源氏物語』の花の庭・樹木の香り
1 匂いの感覚
2 紫苑(しおん)が香る――朝霧の庭
3 花の匂い――樺桜(かばざくら)の咲く
4 風が運ぶ――梅・藤・橘
5 名香(みょうごう)と樒(しきみ)――仏の香
6 匂いの情景
附章三 四季の歌――『源氏物語』の和歌生活としての自然
1 歌と季節
2 水鳥のかりのこの世――家族の肖像
3 牡鹿(おじか)鳴く秋の山里――王朝社会の美徳
4 霜さゆる汀(みぎわ)の千鳥――恋情と唱偈(しょうげ)
5 物語のなかの歌
参考文献
おわりに
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