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尾形大著『「文壇」は作られた――川端康成と伊藤整からたどる日本近現代文学史』


2022年3月25日 文学通信刊 255頁 2000円+税


はじめに

文学史と文壇史、そして伊藤と川端
第1章 「文壇」は作られた
 1 「文壇」という言葉の定義
 2 『日本文壇史』のなかの文壇像
 3 歴史の作られ方――文学史と文壇史
 4 文壇へ参入するには
 5 戦後文壇の中心:川端康成と伊藤整
 6 ノーベル文学賞受賞と川端の戸惑い
 7 川端と伊藤が向き合った文壇

二人はどのようにデビューしていったのか
第2章 文壇への参入と戦略――『感情装飾』と『雪明りの路』の作者たち
 1 それぞれの文壇参入
 2 川端の〈孤児意識〉
 3 伊藤の〈捨児意識〉
 4 詩壇から評価される伊藤
 5 同人雑誌『椎の木』に集った文人たち
 6 梶井基次郎との出会い、そして川端への執筆依頼

文壇に食い込むために
第3章 雑誌を創刊する伊藤――『文藝春秋』をモデルとした『文藝レビュー』
 1 上京と瀬沼茂樹との出会い
 2 モデルとしての『文藝春秋』
 3 文学者とカネの問題
 4 詩から小説への移行
 5 海外文学の窓口
 6 文壇参入に足掻く伊藤

西洋のモダニズムはいかに摂取されたか
第4章 フロイトの精神分析学とジョイス『ユリシーズ』の受容
 1 フロイトとジョイスの輸入
 2 創作への影響
 3 川端による絶賛と伊藤の行き詰まり
 4 「無意識」を描く
 5 『ユリシイズ』共訳と方法としての「意識の流れ」
 6 類似する物語構造
 7 海外文学の受容

文学の「正しい道」を模索する
第5章 文学史の構築と「心理小説」の発見
 1 1930年代の「歴史意識」と文学場
 2 「新」しい心理を「新」しい方法で表現する「新」しい文学
 3 伊藤が考えた文学の「正しい道」と「新心理主義文学」
 4 「心理小説」を軸とする文学史の発見
 5 同伴者・瀬沼茂樹

文学の伝統を刷新する
第6章 拡張される「純文学」概念――「父母への手紙」と「生物祭」
 1 1930年代の純文学の諸相
 2 ジッド受容と「メタ小説」の系譜
 3 川端のメタ小説「父母への手紙」
 4 自伝的情報の書き込みと共有
 5 創作上の窮地に陥る伊藤
 6 「生物祭」の読まれ方
 7 純文学を拡張する試み

多くを語り得ない社会状況のなかで
第7章 プロレタリア文学に向き合う――小林多喜二の死から「幽鬼の街」へ
 1 モダニズム文学=反プロレタリア文学?
 2 「誰だ? 花園を荒らす者は!」
 3 プロレタリア文学への態度
 4 小林多喜二虐殺事件
 5 伊藤の〈沈黙〉
 6 多喜二と芥川の「幽鬼」が語るもの

食い扶持を稼ぐ
第8章 作家活動の裏事情――大学講師と代作問題
 1 作家の生活とカネ
 2 日大芸術科講師に着任
 3 文芸雑誌『新潮』への定期的な掲載
 4 「原稿執筆させていただきます」
 5 作家志望者に向けた『小説論』
 6 ジェイムズのThe Making of Literature
 7 書簡に残された代作の内情
 8 The Making of Literatureの露骨な引き写し
 9 代作問題の複雑な様相

協調か沈黙か
第9章 戦争と文壇――戦時下の「私」の行方
 1 戦時下の文学と文学者たちの動き
 2 「生きている兵隊」と『麦と兵隊』
 3 従軍に殺到する作家たち
 4 〈従軍ペン部隊〉に求められたもの
 5 戦時下の川端の創作活動
 6 北條民雄文学へのまなざし
 7 国策に協調的だった文壇活動
 8 『得能五郎の生活と意見』と『得能物語』の「私」像

戦後にそれぞれが担った役割
第10章 文壇の戦争責任と再建――『鳴海仙吉』と『雪国』
 1 終戦後の文学者の再出発
 2 文学者と文壇の戦争責任
 3 伊藤の執筆活動
 4 長編小説『鳴海仙吉』が抱え込んだ同時代的な問題意識
 5 〈向こう側〉から〈こちら側〉に帰ってくる物語構造
 6 鎌倉文庫からの文壇の再建

法廷の内外で語られた言葉とは
第11章 文壇の団結と再出発――チャタレイ事件と『舞姫』
 1 「性」をあつかった小説の思想と意義
 2 削除版と無削除版
 3 チャタレイ事件はどのように読み取られてきたか
 4 小説『裁判』がもたらした効果
 5 文壇との共闘
 6 川端の無言と『舞姫』の発表
 7 改稿前後の『舞姫』
 8 『舞姫』による応答

 「文壇」の中心へ
第12章 日本近代文学館設立からノーベル文学賞受賞へ
 1 「チャタレイ事件」時の伊藤整の活動
 2 近代文学の研究会との関わり
 3 近代文学資料の復刻と蒐集
 4 日本近代文学館設立へ
 5 文学館設立の目的と意義
 6 相次ぐ展覧会
 7 「文学史」を形づくる場と行為
 8 ノーベル文学賞と川端をめぐりあわせたもの
 9 「文壇」の誕生と終焉
 10 文壇は広がっていく

おわりに
関連年表


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