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毛利香奈子著『いはでしのぶ物語の研究――王朝物語文学の終焉――』


2022年1月30日 武蔵野書院刊 298頁 10000円+税


序章
 一 中世王朝物語『いはでしのぶ』について
 二 『いはでしのぶ』研究史概要
 三 『いはでしのぶ』各巻の概要
 四 本書の概要

第一部 見ること、似ること
第一章 一品宮――物語世界の座標
 一 「碁」と「氷」の場面
 二 「碁」の空間――碁盤を囲む人々の関係性
 三 「見証役」という資格――見比べの空間
 四 「氷」の空間――同化する「氷」と女君
 五 「美の基準」としての一品宮――「碁」と「氷」を超えて
 六 絶対的な「相似の基準」へ
第二章 二位中将――再現する者
 一 物語における「似ること」
 二 二位中将の「似ること」――「たぐふ」もの
 三 「見ること」と経験の共有――共感から同化へ
 四 なぞり、写し取ること――深まる同化
 五 劣化を伴う再現――生の交換としての「似ること」
 六 作られる「似ること」
第三章 右大将――「似ること」からの脱出
 一 波及する「似ること」
 二 右大将の「似ること」
 三 矛盾を孕む相似――「似ること」を忌避する
 四 似られない右大将――不完全な後継者
 五 孤独からの救済――「似ること」に依らない縁
 六 「一品宮中心世界」の輪郭

第二部 手紙
第一章 二位中将――手紙と「仲だち」
 一 物語における手紙
 二 「まこと」と「いつはり」――内大臣と一品宮の手紙
 三 手紙と噂――意思疎通の機能不全
 四 共感する存在――二位中将
 五 「仲だち」としての二位中将
第二章 現実を作る噂――沈められた欲望
 一 引き金としての「噂」 
二 一品宮にまつわる噂
 三 実事なき噂――『狭衣物語』巻三との比較から
 四 つくられる現実――降嫁と離別
 五 沈められた過去と欲望
 六 不確かな声、その影響力
第三章 右大将――筋書きの選択と手習
 一 三つの手習/手紙
 二 手習の発見――曖昧な物思い
 三 創出される贈答
 四 生き方の選択――左大将への反発、宰相中将への共感
 五 遁世という救済――右大将物語の「まこと」の行方
 六 ふたつの物語世界

第三部 音楽
第一章 琴の琴――一品宮との「合はせ」
 一 物語における琴の琴
 二 『いはでしのぶ』の音楽
 三 一品宮の矜持と琴――端午の節句の御遊
 四 内大臣の一の才――嵯峨帝の御遊
 五 一品宮との「合はせ」――一条院の御遊
 六 融合するふたつの琴――白河院六十賀の御遊
第二章 右大将の笛――異分子の音
 一 物語における笛
 二 「音の限り」――奏法の相伝
 三 驚かせる音――異分子の音色
 四 持ち主の行方――笛の相伝
 五 異分子の鎮魂――笛の奏法の相伝

第四部 一品宮
第一章 一品宮の降嫁――皇女の傷と回復
 一 二人の一品宮
 二 排斥された男君の反乱
 三 聖女一品宮の傷――物語世界からの退場と復活
 四 一品宮の居場所――受容するという強さ
 五 狭衣大将から一品宮へ
第二章 連関する密通――もたらされる赦し
 一 物語における密通
 二 男君の病と死――柏木・内大臣
 三 皇女との密通――柏木の「咎」の行方
 四 賛美される子供と赦し――二位中将と一品宮腹若君
 五 闇に葬られる罪――女一の宮と女四の宮腹若君
 六 皇女の復活――「つゆの乱れ」の平定
 七 回復を志向する物語

補遺 『いはでしのぶ』前後
第一章 「まもる」が見出す縁と絆――『源氏物語』を起点として
 一 仮名文字テキストにおける「まもる」
 二 『源氏物語』における「まもる」
 三 「まもる」が見出すつながり
 四 『源氏物語』以降の「まもる」
 五 長編物語の一手法として
第二章 雛屋の中の報復――『恋路ゆかしき大将』
 一 恋路の形成と親世代
 二 恋の「しるべ」となる報復――恋路大将
 三 「雛屋」の中のふたり――恋路大将と女二の宮
 四 恋路大将の影響力
 五 群集する「虫」――「同じさま」になる男君たち
 六 報復の道具として――玉光るの望み
 七 もうひとつの『いはでしのぶ』
終章
初出一覧
あとがき
索引(研究者・作中人物・事項)



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