■野村幸一郎著『東京裁判の思想課題――アジアへのまなざし』■

序　保田與重郎の東京裁判批判――問題の所在　
Ⅰ　徳富蘇峰の「国民」観念――明治維新と昭和の戦争　
　　　　　　満州事変への関心　「八絋為宇」の行方　天皇制とアジア主義　

Ⅱ　松井石根の大亜細亜主義――「同胞」と「皇国民」　
　　　　　　松井石根と東京裁判　満州事変以前における松井の中国分析　
　　　　　　満州事変の世界史的立場　宇都宮太郎と松井石根　満州事変から日支事変へ
　　　　　　「亜細亜的精神」の問題圏　南京事件

Ⅲ　大川周明の「三国意識」――アジアの解放と文化主義　
　　　　　　東条英機宛書簡をめぐる応答　維新の精神　アジアとの連帯　イスラム教への傾斜　

Ⅳ　竹山道雄のファシズム論――近代文明の光と影
　　　　　　「文明」の裁きへの疑念　ハイド氏のファシズム　竹山の反戦平和思想　

Ⅴ　堀田善衛と南京事件――『時間』における歴史と実在の往還　
　　　　　　東京裁判との交錯　マギー証言との距離　反美学としての『時間』　歴史と実存　
　　　　　　アンガージュの輻輳性　

Ⅵ　阿川弘之が語る開戦への道程――『米内光政』と東京裁判史観の死角　
　　　　　　米内光政の中国認識　日支事変への道程　米内の開戦責任　三国同盟　海軍の功利主義
　
あとがき――坂口安吾のまなざし