■千葉一幹著『コンテクストの読み方 コロナ時代の人文学』■
2021年3月9日 NTT出版刊 261頁 2600円+税
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はじめに
現在バイアスと人文学
「知性と権力との固定的な結びつき」への反感
コンテクストとテクスト
ポスト・トゥルース時代の文学研究
Ⅰ部 多様な〈読み〉の方法論――コンテクスト理解のために
第Ⅰ章 実証主義的方法――夏目漱石『吾輩は猫である』
「吾輩は猫である」という言明
夏目漱石という人間
名前をめぐる小説
第2章 記号学
言語が現実を作る
関係性としての言葉の意味
「一寸法師」と「シンデレラ」
『巨人の星』と鼻の記号学
アマチュア的鼻とプロフェッショナル的鼻
第3章 ナラトロジー
ジェラール・ジュネットの物語分析
時間
叙法
態
第4章 精神分析的批評
フロイトの精神分析
無意識の発見
エディプス・コンプレクス
リビドーと自体愛
インセスト・タブーの成立
第5章 精神分析で作品を読み解く
カミュ『異邦人』と精神分析
父の不在とムルソー
「不気味なもの」と胎児の記憶
第6章 文学の社会学的読み方
文化資本としての芸術――ブルデューの芸術社会学
文学場の成立と探偵小説
識字率の上昇
余暇の誕生と刺激的なものへの希求
近代的大都市の成立
密室の普及――鍵のかかる部屋とプライバシー
第7章 フェミニズム批評
ジェンダーとは何か
歌謡曲とジェンダー
文学研究法の先にあるもの
Ⅱ部 文学をふかく読むこと――漱石とともに考える
第8章 漱石と倫理――文学の幼年時代
序 倫理的作家としての漱石
1 マニフェスト『蘆美人草』
2 マドンナの『それから』
3 清vs.マドンナあるいは「良い乳房」vs.「悪い乳房」
4 文学への「基本的信頼」
5 坊っちゃんの「それから」
6 『それから』の不思議
7 屏風と三千代
8 遅れて来る者と最後に来る者
結び
第9章 漱石をめぐる対話
三四郎と美禰子の出会い
野々宮はどこにいた?
美禰子は三四郎をどう思ったのか
吊り橋理論と二人の関係
同じ方向を見るということ――小津安二郎『麦秋』
小津安二郎と死者への思い
共視体験と人間
人間の目、動物の目
歴史に向き合うこと
漱石と幼年期
三角関係と友人
過去は償えるか
『門』と『それから』と因果律
終わらないこと
『それから』のやり直しとしての『こゝろ』
『道草』における過去との向き合い方
親に愛されなかった漱石
実母の思い出と養父母の愛
利己的な遺伝子と親子愛
過去に祟られること、過去に祝福されること
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