■鈴木優作著『探偵小説と〈狂気〉』■
2021年2月26日 国書刊行会刊 360頁 3500円+税
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序
第一部 心身における〈狂気〉
第一章 狂信という心理――小栗虫太郎「後光殺人事件」――
一 新宗教ブームと奇蹟の演出
二 奇蹟のもたらす〈狂気〉
三 科学による秩序の維持
四 法水と科学的推理
五 心をめぐる探偵小説として
第二章 〈狂気〉を孕む身体――夢野久作「ドグラ・マグラ」――
一 心理遺伝論にみる身体
二 探偵される身体と科学思想
三 探偵される身体による提起
四 夢野久作と「探偵小説」 /
第二部 〈狂気〉を内包する場
第三章 精神病院法のもたらす探偵/犯人像の構築――大阪圭吉「三狂人」――
一 探偵役としての松永
二 松永のまなざし
三 語り手のまなざし
四 同時代の精神病院をめぐる社会状況
第四章 戦後社会への批判としての〈狂気〉――大下宇陀児・水谷準・島田一男「狂人館」――
一 狂人館と二笑亭
二 黒田金之助のモデル赤木城吉と夏目漱石
三 文化消費/暴力のトポス
四 正常な世界と〈狂気〉の架橋
五 批判的視座としての〈狂気〉 /
第三部 法制度と〈狂気〉
第五章 精神鑑定という罠――平林初之輔「予審調書」――
一 モチーフとしての予審
二 罠としての精神鑑定
三 司法に介入する精神医学
四 密室としての予審
第六章 自白の追求という〈狂気〉――小酒井不木「三つの痣」――
一 欲望される自白
二 先行する犯人識別法・探偵法
三 自白の追求方法の模索
四 〈狂気〉の烙印
第七章 夢遊病と犯罪をめぐって――浜尾四郎「夢の殺人」――
一 大正・昭和初期の夢遊病言説と探偵小説
二 藤次郎の殺人計画
三 要之助の殺人
四 浜尾短編にみる人間関係の力学 /
第四部 〈狂気〉表象の歴史性
第八章 〈狂気〉の物語の発掘――岡本綺堂「影を踏まれた女」――
一 怪談と探偵小説
二 「病」を探偵する
三 モチーフとしての「影」
四 物語の発掘
第九章 精神医学に復讐する狂女――夢野久作「笑ふ啞女」――
一 澄夫の人物造形
二 花子の人物造形
三 ディスコミュニケーションと身体性
四 自滅する澄夫
五 夢野作品と〈狂気〉
第一〇章 佯狂表象の物語――岡本綺堂「川越次郎兵衛」――
一 護身としての佯狂
二 責任回避としての佯狂
三 戯れとしての佯狂
四 風刺としての佯狂
五 本作の位置 /
第五部 仕掛けとしての〈狂気〉
第一一章 ミスリードと〈狂人〉――江戸川乱歩「緑衣の鬼」――
一 戦争神経症から「緑色狂」へ
二 白虹の推理を支える〈狂気〉
三 菊太郎・乗杉の推理と科学性
四 形式への志向
五 不在の被害者としての〈狂人〉
第一二章 探偵行為としての精神分析――木々高太郎「わが女学生時代の罪」――
一 「網膜脈視症」「就眠儀式」にみる精神分析
二 「わが女学生時代の罪」にみる精神分析
三 臨床的精神分析の受容
四 探偵する「私」
おわりに
初出一覧
参考文献
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