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谷知子・島村輝編『和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首』


2021年2月25日 花鳥社刊 224頁 1600円+税


はじめに 
凡例 

上代――大和・奈良時代
 1 八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重垣作るその八重垣を 須佐之男命
 コラム 和歌とは
 2 岩代の浜松が枝を引き結びま幸くあらばまたかへり見む 有間皇子
 コラム 有間皇子/挽歌・相聞
 3 君待つと吾が恋ひ居れば吾が宿の簾動かし秋の風吹く 額田王
 4 石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも 志貴皇子
 5 世間を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば 山上憶良
 6 沫雪のほどろほどろに降り敷けば奈良の都し思ほゆるかも 大伴旅人
 コラム 山上憶良/元号令和と旅人
 7 もののふの八十宇治川の網代木にいさよふ波の行くへ知らずも 柿本人麻呂
 コラム 柿本人麻呂
 8 磯の崎漕ぎ廻み行けば近江の海八十の湊に鶴さはに鳴く 高市黒人
 9 夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ 坂上郎女
 コラム 序詞/掛詞と心物対応構造
 10 田子の浦ゆうち出でて見れば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける 山部赤人
 コラム 山部赤人/富士山
 11 君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも 狭野弟上娘子
 12 うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとりし思へば 大伴家持
 コラム 大伴家持/萬葉集 

中古――平安時代
 13 今はとて天の羽衣着る折ぞ君をあはれと思ひ出でける かぐや姫
 14 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせばさめざらましを 小野小町
 コラム 六歌仙と三十六歌仙/夢
 15 しかりとてそむかれなくに事しあればまづ嘆かれぬあな憂き世の中 小野篁
 コラム 篁伝説/遣唐使
 16 ちはやふる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは 在原業平
 コラム 高子との恋/在原業平の文化
 17 君や来しわれや行きけむおもほえず夢か現か寝てかさめてか 斎宮
 18 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 藤原敏行
 コラム 漢詩と和歌/白楽天の影響
 19 照りもせず曇りもはてぬ春の夜のおぼろ月夜にしく物ぞなき 大江千里
 20 梅は飛び桜は枯るる世の中に何とて松のつれなかるらん 菅原道真
 コラム 菅原道真/天神信仰
 21 ふしてぬる夢路にだにも逢はぬ身はなほあさましきうつつとぞ思ふ 紀長谷雄
 22 秋風に声をほにあげて来る舟は天の門渡る雁にぞありける 藤原菅根
 23 春風はのどけかるべし八重よりもかさねてにほへ山吹の花 菅原輔昭
 24 久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ 紀友則
 コラム 枕詞/桜
 25 浦近く降り来る雪は白浪の末の松山越すかとぞ見る 藤原興風
 コラム 歌枕/末の松山と東日本大震災
 コラム 勅撰和歌集
 26 桜散る木の下風は寒からで空に知られぬ雪ぞ降りける 紀貫之
 コラム 紀貫之/見立て
 27 冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ 清原深養父
 コラム 古今和歌集
 コラム 折句/沓冠
 28 逢坂も果ては行き来の関もゐず尋ねて訪ひ来来なば帰さじ 村上天皇
 29 ゑごひする君がはし鷹しも枯れの野にな放ちそ早く手に据ゑ 源順
 コラム 和歌を読むための文法/手習い
 30 絶えぬるか影だにあらば問ふべきをかたみの水は水草ゐにけり 藤原道綱母
 コラム 蜻蛉日記/女性の日記
 コラム 数奇/秋の虫
 31 鳴けや鳴け蓬が杣のきりぎりす過ぎゆく秋はげにぞ悲しき 曾禰好忠
 32 もみぢ葉をなに惜しみけむ木の間よりもりくる月はこよひこそ見れ 具平親王
 コラム 紅葉/月
 33 この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば 藤原道長
 コラム 道長の時代/彰子サロン
 コラム 紫式部/源氏物語
 34 水鳥を水のうへとやよそに見むわれも浮きたる世をすごしつつ 紫式部
 35 もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づるたまかとぞ見る 和泉式部
 36 見てもまたあふよまれなる夢の中にやがてまぎるるわが身ともがな 光源氏
 37 袖ぬるるこひぢとかつは知りながら下り立つ田子のみづからぞうき 六条御息所
 コラム 光源氏/源氏物語の女君
 38 よもすがら契りしことを忘れずは恋ひん涙の色ぞゆかしき 定子中宮
 39 よしさらばつらさは我にならひけり頼めて来ぬは誰か教へし 清少納言
 コラム 枕草子/定子中宮
 コラム 能因/歌徳
 40 天の川苗代水にせき下せ天降ります神ならば神 能因法師
 41 あさ緑花もひとつにかすみつつおぼろに見ゆる春の夜の月 菅原孝標女
 42 契りあらばよき極楽にゆきあはむまつはれにくし虫のすがたは 虫めづる姫君
 43 桃の花光をそふるさかづきはめぐる流れにまかせてぞ見る 大江匡房
 コラム 曲水宴/年中行事 

中世――平安時代末期(院政期)・鎌倉・南北朝・室町・安土桃山時代
 44 瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院
 コラム 保元の乱と武者の世/百人一首の事業化、商品化
 45 夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里 藤原俊成
 コラム 本歌取り/幽玄・艶
 コラム 西行/東海道の旅
 46 年たけてまた越ゆべしと思ひきや命なりけり小夜の中山 西行
 47 萩が花ま袖にかけて高円の尾上の宮に領巾振るやたれ 顕昭
 コラム 御子左家と六条藤家/歌学
 48 難波江の蘆のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき 皇嘉門院別当
 コラム 題詠/縁語
 49 秋の夜のしづかに暗き窓の雨うち嘆かれてひましらむらん 式子内親王
 コラム 式子内親王/斎院と賀茂祭
 50 月をこそながめなれしか星の夜の深きあはれを今宵知りぬる 建礼門院右京大夫
 51 陸奥のいはでしのぶはえぞ知らぬ書き尽くしてよ壺の石文 源頼朝
 コラム 源頼朝/鎌倉と和歌
 52 しづやしづしづのをだまき繰り返し昔を今になすよしもがな 静御前
 53 水の面に飛びかふ春のつばくらめ巣立てんことも思ひやられて 慈円
 54 石川や瀬見の小川の清ければ月も流れを尋ねてぞすむ 鴨長明
 コラム 鴨長明/方丈記
 55 露ふかき庭のともしび数きえて夜やふけぬらん星合の空 藤原家隆
 コラム 七夕と乞巧奠/歌合
 56 尋ねみるつらき心の奥の海よ潮干の潟のいふかひもなし 藤原定家
 コラム 藤原定家
 57 うちしめり菖蒲ぞかをるほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮れ 藤原良経
 58 宮柱ふとしきたてて万代に今ぞ栄えん鎌倉の里 源実朝
 59 われこそは新島守よ隠岐の海の荒き波風心して吹け 後鳥羽院
 コラム 後鳥羽院/新古今和歌集と後鳥羽院
 60 旅人もみなもろともに朝立ちて駒うちわたす野洲の河霧 阿仏尼
 61 梅の花くれなゐにほふ夕暮に柳なびきて春雨ぞ降る 京極為兼
 コラム 京極為兼/京極派
 62 さ夜ふけて宿守る犬の声高し村しづかなる月の遠方 伏見院
 コラム とはずがたり
 63 浮き沈み三瀬川にも逢ふ瀬あらば身を捨ててもや尋ねゆかまし 後深草院二条
 64 こよろぎの磯より遠く引く潮に浮かべる月は沖に出でにけり 兼好法師
 65 野伏する鎧の袖も楯の端もみな白妙の今朝の初雪 上杉謙信 

近世――江戸時代
 66 神よいかに聞きたがへたる恋せじとはらへしままに増る悲しさ 後水尾院
 67 天河みなぎるいさごとしつもり空よりなせるふじのしば山 下河辺長流
 68 萩すすき秋まつ露の庭もせに名もなき草も色は添ひけり 武者小路実陰
 コラム 堂上と地下
 コラム 歌の家と冷泉家
 69 唐土の秋にはしらじ秋津州の秋は今夜の名にしおふ月 冷泉為村
 70 鏡だに捨つればくもることわりやおもひてみがけおのが心を 田安宗武
 コラム 徳川家と和歌
 71 いにしへの詞ならずはあたらしきこころの花もいかでみゆべき 日野資枝
 72 ただひとへ小枝の霜と降り初めてなびくもあかぬ雪の村竹 塙保己一
 コラム 国学
 73 この世をばどりゃおいとまにせん香と共につひには灰左様なら 十返舎一九
 コラム 辞世の和歌
 74 霞立つ長き春日を子どもらと手まりつきつつこの日暮らしつ 良寛
 75 春の日の長くもかけて見つるかなわが転寝の夢のうきはし 香川景樹
 76 うれしきにうきに心のくだかれて恋こそ人の老となりけれ 千種有功
 77 菊の花咲きいでぬらむ故郷のまがきの色を誰に問はまし 佐久間象山
 78 嵐山夕べ寂しく鳴る鐘にこぼれそめてし木々の紅葉 坂本龍馬
 コラム 幕末志士と和歌
 79 面白きこともなき世を面白く住みなすものは心なりけり 東行(高杉晋作)
 80 身のうさは人しも告げじあふ坂の夕づけ鳥よ秋も暮れぬと 宮木
 コラム 雨月物語 

近・現代――明治維新から今日まで
 81 天地を籠めたる霧の白濁の中に一點赤き唇 森鷗外
 82 赤き烟黒き烟の二柱真直に立つ秋の大空 夏目漱石
 コラム 近代短歌の挑発者・正岡子規「歌よみに与ふる書」
 コラム 文豪の短歌―観潮楼歌会のその後
 83 美しきちからをもちてひきつくる歌劇のとばりにひと吸はれゆく 矢澤孝子
 コラム 宝塚
 84 文五郎がてにささへられ静御前われを見つめて訴へ泣き入る 窪田空穂
 85 みだれ髪を京の島田にかへし朝ふしていませの君ゆりおこす 与謝野晶子
 86 君と見て一期の別れする時もダリヤは紅しダリヤは紅し 北原白秋
 87 沈黙のわれに見よとぞ百房の黒き葡萄に雨ふりそそぐ 齋藤茂吉
 88 幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅行く 若山牧水
 コラム 現代短歌の祖は茂吉? 啄木?
 89 遠足の小学生徒有頂天に大手ふりふり往来通る 木下利玄
 90 蜑をのこ あびき張る脚すね長に、 赤き褌高く、 ゆひ固めたり 釈迢空
 91 桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり 岡本かの子
 92 巨なる人のかばねを見んけはい谷はまくろく刻まれにけり 宮澤賢治
 93 思ひきや東の国にわれ生れてうつつに今日の日にあはんとは 湯川秀樹
 94 神はあらね摂理はあると影のごとふと隣人の呟きにけり 葛原妙子
 95 石垣島万花艶ひて内くらきやまとごころはかすかに狂ふ 馬場あき子
 96 たまきはるいのちの旅に吾をまたす君にまみえむ明日の喜び 美智子上皇后
 97 ジャージーの汗滲むボール横抱きに吾駆けぬけよ吾の男よ 佐佐木幸綱
 98 水無月は時の流れの匂う午後「もう」と思えり「まだ」と思えり 俵万智
 99 川の瀬に捨てられし古き自転車を隠すがごとく落花群がる アーサー・ビナード
 100 目を伏せて空へのびゆくキリンの子月の光はかあさんのいろ 鳥居
 コラム 「短歌的叙情」なんて昔の話? 自動生成する「超・現代短歌」 

和歌・短歌を学ぶための読書案内 
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