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紅野謙介・内藤千珠子・成田龍一編『〈戦後文学〉の現在形』


2020年10月21日 平凡社刊 469頁 4800円+税


プロローグ〈戦後文学〉の現在形(内藤千珠子) 

Ⅰ期 一九四五~一九七〇年 
 坂口安吾『戦争と一人の女』あさましさの肯定と寄る辺なさ(大原祐治) 
 原民喜『夏の花』 「顔」との遭遇(村上陽子) 
 武田泰淳『蝮のすえ』 上海で迎えた「戦後」(村上克尚) 
 大岡昇平『俘虜記』 「事件」と「歴史」の余白(城殿智行) 
    コラム1 戦後派と新日本文学会(紅野謙介) 
 林芙美子『浮雲』 占領期の滅びゆく女性(久米依子) 
 大田洋子『半人間』 交錯する時間と身体――原爆を語る(中谷いずみ) 
 深沢七郎『楢山節考』 「戦後文学」としての「楢山節考」(村上克尚) 
 幸田文『流れる』 花柳界の「戦後」(紅野謙介) 
    コラム2 「詩」(坪井秀人) 
 円地文子『朱を奪うもの』 「第二の世界」の歴史的功罪(倉田容子) 
 瀬戸内晴美『花芯』 女の名を逸脱する場所(内藤千珠子) 
 松本清張『点と線』 「社会派推理小説」への第一歩(吉野泰平) 
 金達寿『朴達の裁判』 置き去りにされた転向(廣瀬陽一) 
    コラム3 評論(佐藤泉) 
 倉橋由美子『パルタイ』 「らしさ」の檻を出ることの困難(橋本あゆみ)
 小島信夫『抱擁家族』 「翻訳」とその残余(大原祐治) 
 野坂昭如『エロ事師たち』 「母」に許されたい男たち(逆井聡人) 
 河野多恵子『不意の声』 〈父の娘〉の〈母殺し〉(中谷いずみ)
    コラム4 サークル運動(鳥羽耕史) 
 石牟礼道子『苦海浄土』 時差のある檄文(金井景子) 
 三島由紀夫『豊饒の海』 戦争の記憶なき「戦後文学」(武内佳代) 
 司馬遼太郎『坂の上の雲』 「国民の物語」としての日清・日露戦争を描く(成田龍一) 
 金鶴泳『凍える口』 存在の中心点としての「吃音」(副田賢二) 
    コラム5 大江健三郎(村上克尚) 

Ⅱ期 一九七一~一九八九年 
 大西巨人『神聖喜劇』 今なお生々しい社会の「縮図」(橋本あゆみ) 
 李恢成『砧をうつ女』「母」なる「戦後」(服部訓和) 
 東峰夫『オキナワの少年』 「一本の軍用道路にしがみついてるコザの町」(井原あや) 
 有吉佐和子『恍惚の人』 「老耄」小説と介護小説のはざまで(武内佳代) 
 安部公房『箱男』 開放系としての箱(鳥羽耕史) 
    コラム1 ジャーナリズムと同人雑誌(紅野謙介) 
 後藤明生『挾み撃ち』 「戦後」と「文学」の分かれ道(城殿智行) 
 島尾敏雄『死の棘』 「電気ショック」に与えられた愛(服部訓和) 
 大庭みな子『浦島草』 原爆の記憶と「現在」(上戸理恵) 
 林京子『ギヤマン ビードロ』 ガラスとしての身体/身体のなかのガラス(副田賢二) 
 冥王まさ子『ある女のグリンプス』 もうひとりの「私」と触れあうために(内藤千珠子) 
    コラム2 仮装女性と文体(小平麻衣子) 
 村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』陰鬱な活劇(五味渕典嗣) 
 井上ひさし『吉里吉里人』 「吉里吉里国」が照らしだす「日本」(岡英里奈) 
 安岡章太郎『流離譚』 「喪失」としての「戦後」(服部訓和) 
 金石範『火山島』 再び注目されている『火山島』(呉恩英) 
 中上健次『千年の愉楽』 生命の縁起、脱人間中心主義の「戦後文学」(渡邊英理) 
    コラム3 メタフィクションとSF(𠮷田司雄) 
 富岡多恵子『波うつ土地』 〈家族〉の街の、ウラの顔(井原あや) 
 古井由吉『槿』 老いと狂い(五味渕典嗣) 
 吉本ばなな『キッチン』 「個人的」であり、「個人的」でないこと(泉谷瞬) 
 色川武大『狂人日記』 個人をめぐる清廉な問い(逆井聡人) 
 李良枝『由煕』 「ことば」の感触へ可感的にする(渡邊英理) 
    コラム4 浅利慶太と劇団四季(嶋田直哉) 

Ⅲ期 一九九〇~二〇二〇年 
 笙野頼子『居場所もなかった』 常識人の健全な妄想(城殿智行) 
 松浦理英子『親指Pの修業時代』 上演される〈性〉(小平麻衣子) 
 奥泉光『石の来歴』 生成する個人史、堆積する戦後史(橋本あゆみ) 
 水村美苗『私小説from left to right』 引き裂かれるアイデンティティと「戦後」(武内佳代) 
    コラム1 村上春樹――戦時と戦後のあいだに(金子明雄) 
 島田雅彦『忘れられた帝国』 戦後を批評する帝国(深津謙一郎) 
 宮部みゆき『模倣犯』一人一人を「消す」力に抗う(吉野泰平) 
 桐野夏生『グロテスク』 「だけど男にはなれないのよ、一生。」(井原あや) 
 阿部和重『シンセミア』 戦後を問い直す政治小説(中沢忠之) 
    コラム2 サブカルチャー――文学との函数(久米依子) 
 町田康『告白』 「異質な者」を排除する暴力(深津謙一郎) 
 リービ英雄『千々にくだけて』 連環する過去と複数の生(逆井聡人) 
 津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』 他者の痛みをめぐる物語(中谷いずみ) 
 平野啓一郎『決壊』 現代日本社会のリアルと虚像のあいだ(成田龍一) 
    コラム3 作家とパフォーマンス――多和田葉子を例に(岩川ありさ) 
 川上未映子『ヘヴン』 被傷性のあいだで(内藤千珠子) 
 高橋源一郎『恋する原発』 一つの覚悟の表明――文学がしてはならないこと(金井景子) 
 目取真俊『眼の奥の森』 「戦後」なき島で痛みを生きる(村上陽子) 
 いとうせいこう『想像ラジオ』 霊媒としてのラジオ(楜沢健) 
    コラム4 震災と文学(岡和田晃) 
 村田沙耶香『消滅世界』 性と家族の解体と再生(岩川ありさ) 
 津島佑子『狩りの時代』 作家の芯にある「夢」で差別という「陵辱」を退ける(岡和田晃) 
 崎山多美『クジャ幻視行』 「戦後」の向こう側へ(渡邊英理) 
 多和田葉子『地球にちりばめられて』 移動する言葉、遠ざかるアイデンティティ(紅野謙介) 

エピローグ 
新型コロナウイルス禍のなかで(成田龍一)
 『〈戦後文学〉の現在形』関連年表(紅野謙介) 

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