■千葉一幹著『現代文学は「震災の傷」を癒せるか
――3・11の衝撃とメランコリー――』■
2019年3月30日 ミネルヴァ書房刊 252頁 3000円+税
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第1章 人は震災にいかに向き合ったか――メランコリー・カタリ・喪の作業
1 震災の衝撃とメランコリー
2 当事者性と疚しさ
3 当事者性とは何か――年表と歴史
4 ハナシとカタリ
5 話しと放し
6 『神様2011』『恋する原発』――ハナシとカタリ⑵
7 『馬たちよ、それでも光は無垢で』――ハナシとカタリ⑶
8 津波と放射能汚染
9 死者の語り
10 『焼野まで』から
第2章 震災後の愚行――吉村萬壱『ボラード病』にみる不謹慎者の戦略
1 愚行とアンチ・ヒューマニズム
2 ノンセンスと「かのように」
3 『ボラード病』あるいは不謹慎者の戦略
第3章 震災前から震災後を読み解く――川上未映子『ヘヴン』にみる「いじめ」
1 震災が作家にもたらす変化とは何か
2 震災・宗教・『ヘヴン』
3 宗教の意味
4 社会学の臨界点としてのいじめ
5 「ワニとハブとひょうたん池で」――社会システムとしてのいじめ
6 「ワニとハブとひょうたん池で」から『ヘヴン』へ
7 コジマあるいはアウシュヴィッツを生き延びること
8 存在の羞恥と不潔さ
9 カントとニーチェ
10 ニーチェ対ニーチェ
11 コジマの答え⑴――赤面と無力さ
12 コジマの問い⑵――なぜ「私」なのか
13 宗教と文学
第4章 鎮魂の行方――宮沢賢治と妹トシの言葉
1 宮沢賢治と震災
2 挽歌「永訣の朝」における方言をめぐって
3 標準語制定と賢治の方言観
4 動物や霊魂は、何語で語るのか――賢治と標準語
5 『赤い鳥』と方言
6 童話と詩の差異
7 死にゆく者の言葉とまことのことば
8 トシの言葉を求めて――死者は語るのか
9 死者との別れ
第5章 後景化する震災――語り手の消失・不可視化
1 風景画と事件
2 希薄な関係性がもたらす不可視の死――『影裏』
3 しあわせの処方――『最愛の子ども』
4 励ましとしての小説
終 章 視線の行方――喪失の悲しみの中に
1 死者との距離
2 共に見つめること――小津安二郎『麦秋』をめぐって
3 共視体験
4 共視と文を読むこと
5 読むことあるいは視線の偏差について
6 喪失と回復
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