■光石亜由美著『自然主義文学とセクシュアリティ
――田山花袋と〈性欲〉に感傷する時代』■
2017年3月30日 世織書房刊 355頁 3800円+税
|
序章 自然主義文学とセクシュアリティ
1 自然主義文学と〈性〉
2 セクシュアリティの近代
3 自然主義文学と性欲学
4 〈性的現象〉としての文学
5 〈性欲〉から〈変態性欲〉へ
6 各章の要旨 /
第Ⅰ部 自然主義文学と欲望の問題系
第1章 恋する詩人の死と再生――田山花袋「少女病」
1 語り手の「少女小説」批判
2 「少女病」における恋愛と創作
3 恋する詩人
4 性欲の病い、青年の病い
5 イニシエーションの擬制
第2章 〈少女〉という快楽――田山花袋「少女病」をめぐって
1 〈恋愛〉の発見/〈少女〉の発見
2 〈少女〉の誕生と〈処女〉の価値
3 〈少女〉という快楽装置
4 「少女病」という新しい欲望
第3章 生殖恐怖?――夫婦の性愛と田山花袋「罠」
1 田山花袋の描いた夫婦
2 「罠」における生殖嫌悪
3 明治時代の新しい夫婦観
4 性科学における夫婦観
5 愛情/生殖/イデオロギー
6 自然主義文学と「本能」
7 「生殖」「本能」から逃亡する男たち
第4章 『独歩集』における性規範――「正直者」「女難」を中心に
1 自然主義文学の〈起源〉としての国木田独歩
2 欲望はどこからくるのか
3 性的欲望は内在する
4 欲望の語られ方
5 自然主義の中の独歩 /
第Ⅱ部 性欲・感傷・共同体
第5章 〈告白〉と「中年の恋」――田山花袋「蒲団」
1 「蒲団」における〈告白〉
2 「中年の恋」の流行
3 「新しい恋」と「蒲団」
4 婚姻外性交と処女性への規制
5 事後的に語りなおされる欲望
6 「中年の恋」と「厭妻的小説」
7 「中年の恋」対「青年の恋」
第6章 田山花袋「蒲団」と性欲描写論争――〈性〉を語る/〈真実〉を語る
1 〈性〉を語る特権
2 性欲描写論争について
3 〈性〉を語ることの条件
4 読者と禁欲
5 性欲描写論争、その後
6 「蒲団」――「文学者」と「新しい恋」
第7章 日露戦争後の文学と性表現――〈性欲〉に煩悶する時代と〈感傷〉の共同体
1 戦後的現象としての〈性〉と文学
2 日露戦後の自然主義文学のイメージ
3 田山花袋「蒲団」と〈煩悶〉の時代
4 〈女々しい〉文学
5 〈性欲〉に煩悶する時代と〈感傷〉の共同体
第8章 自然主義の女――永代美知代「ある女の手紙」をめぐって
1 女弟子が「女性作家」になるとき
2 「ある女の手紙」について
3 女弟子の告白
4 自然主義教育
5 自然主義の女という「私」
6 自然主義的恋愛教育
7 師匠、女弟子、そして自然主義
8 〈真実〉をめぐる闘争 /
第Ⅲ部 自然主義と権力・メディア・セクシュアリティ
第9章 〈発禁〉と女性のセクシュアリティ――生田葵山「都会」裁判を視座として
1 発売禁止について
2 「都会」裁判――「姦通」の問題系
3 スキャンダルとしての女性――「伊東中将姦通顚末」
4 小説「都会」における疑惑と欲望
5 猥褻――隠喩としての女性のセクシュアリティ
第10章 猥褻のシノニム――自然主義と諷刺漫画雑誌
1 「先生の鼻に蒲団の蚤が飛び」――ある漫画、あるいは、自然主義文学の読まれ方
2 「教へぬ子も知つて居る自然主義」――諷刺漫画雑誌について
3 「出歯亀に衣着せたが自然主義」――諷刺漫画雑誌の中の自然主義
4 「今更のやうと西鶴笑つて居」――「滑稽界」について
5 「自然主義鬼門の方は司法なり」――「滑稽界」の自然主義批判
6 〈猥褻〉の快楽
第11章 女形・自然主義・性欲学――視覚とジェンダーをめぐっての一考察
1 女形はジェンダーの越境か
2 演劇改良運動期・男女混合演劇期の女形論
3 新劇創始期における女形論
4 日英博覧会と女形
5 照らし出される女形の身体
6 性の病理/倒錯の美としての女形
7 女形と自然主義リアリズム
8 女形のゆくえ
第12章 女装と犯罪とモダニズム――谷崎潤一郎「秘密」からピス健事件へ
1 正常/異常の境界線
2 「秘密」における女装とセクソロジー
3 女装と犯罪
4 消費される女装
5 「秘密」からピス健事件へ
|
Copyright (C)2006 日本文学協会, All Rights Reserved.
|