■中村三春著『フィクションの機構2』■
2015年2月27日 ひつじ書房刊 412頁 4400円+税
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序説 根元的虚構論と文学理論
1 根元的虚構論の構想
2 文学理論の現在
3 本書の構成
第一部 フィクションの諸相――根元的虚構論から――
第一章 嘘と虚構のあいだ――言語行為と根元的虚構――
1 「二重の陳述」の問題
2 形象性と構築性
3 虚構の起源としての嘘
4 嘘の基盤としての虚構
5 秘密性と操作性
6 嘘 虚構 根元的虚構
第二章 虚構論と文体論――近代小説と自由間接表現――
1 小説 虚構 文体
2 自由間接表現と小説
3 引用=話法としての自由間接表現
4 引用と根元的虚構
第三章 物語 第二次テクスト 翻訳
――村上春樹の英訳短編小説――
1 翻訳と第二次テクスト
2 Monsterと獣――「緑色の獣」読解
3 現代の昔話
4 物語の機能――「タイランド」とともに
5 本質的翻訳性
第四章 表象テクストと断片性
――カルチュラル・スタンディーズとの節合――
1 全体性と断片性
2 節合 全体論 啓蒙
3 反ポストモダニズムの思想
4 啓蒙の限界
第五章 認知文芸学の星座的構想
――関連性理論からメンタルスペース理論まで――
1 文芸テクストと共約不可能性
2 アレゴリー的転倒
(1)関連性理論と物語生成論
(2)無限の解釈項
(3)アレゴリー・星座・脱構築
3 認知文芸学とパラダイム論
4 星座的ネットワークの構想
第六章 〈無限の解釈過程〉から映像の虚構論へ
――記号学と虚構――
1 可能世界虚構論とメイクビリーヴ理論
2 可能世界と不可能世界
3 虚構とウォーターゲート・モデル
4 映像の虚構論
第七章 故郷 異郷 虚構――「故郷を失つた文学」の問題――
1 故郷/異郷の発生
2 近代主義と故郷
3 故郷から日本回帰へ
4 近代世界システムとユートピア
5 故郷/異郷の無化
6 充溢する今・ここ
第二部 フィクションの展開――詩・小説・映画――
第一章 安西冬衛――『渇ける神』の可能世界――
1 〈世界図〉的なテクスト
2 『渇ける神』の成立
3 『渇ける神』の可能世界
(1)ドキュメント形式
(2)百科事典型ディスクール
(3)表意体の独立
(4)異文化的情報
4 〈外部〉から〈外部〉へ
第二章 横光利一――非構築の構築『上海』――
1 『上海』のレトリック分析
2 物象化――意味生成性(1)
3 連鎖――意味生成性(2)
4 疎隔化――意味生成性(3)
5 開かれた作品、アヴァンギャルド
6 テクスト様式論
第三章 太宰治――第二次テクスト『新ハムレット』――
1 なぜ『新ハムレット』か?
2 第二次テクスト性
3 対話のフラグメント
4 「愛は言葉だ」と神
5 アヴァンギャルドとデカダンス
6 『ハムレット』の衝撃
第四章 谷川俊太郎――テクストと百科事典――
1 沈黙 言葉 世界
(1)自我・実存の問題
(2)言葉による他者とのコミュニケーションの困難
(3)言葉による世界把握の不可能性
(4)発語そのものの条件
2 『定義』――百科事典のパロディ
(1)「メートル原器に関する引用」
(2)「非常に困難な物」
(3)「そのものの名を呼ばぬ事に関する記述」
(4)「道化師の朝の歌」
(5)「なんでもないものの尊厳」
3 りんごから世界の連環へ
(6)「りんごへの固執」
4 コンタクト志向の詩
第五章 村上春樹――〈危機〉の作家――
1 堀辰雄1923/村上春樹1995
2 〈傷つきやすさ〉の系譜
3 「システム」の諸様相
4 恐怖に向かい合う想像力
5 震災から震災へ
第六章 松浦寿輝――詩のメタフィクション――
1 世界の「マクドナルド化」に抗して
2 『ウサギのダンス』――メタ物語とメタ詩
3 「とぎれとぎれの午睡を が浸しにやってくる*」――〈虫食い〉の詩
4 「幼年」――エクリチュールの零度
5 『女中』――関係性の白昼夢
6 『鳥の計画』――自我と拡散
第七章 今井正――『また逢う日まで』のメロドラマ原理――
1 反復とヴォイス・オーヴァー
2 愛と死のパラドックス
3 読唇術、またはkissの本質
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