■大本 泉著『作家のごちそう帖 悪食・鯨飲・甘食・粗食』■
2014年9月12日 平凡社刊 244頁 760円+税
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森鷗外「パッパ」としての料理
作家と役人との二重生活/「技巧のない料理」を好む/
〈饅頭のお茶漬け〉が好物だったパッパとしての鷗外
夏目漱石 それでも「何か食いたい」
ロンドンでの食べもの/こってりしたもの、甘いもの好き
漱石の好きだった「洋風かき揚げ」/臨終間際に口にしたもの
南方熊楠 あんパンと味噌汁中毒
漱石とは同級生/エコロジーの先駆者/あんパン中毒/人見知り克服のための鯨飲/
毎日食した、にらの味噌汁/臨終の熊楠
正岡子規「うまい物を喰ふ」療養法
青年時代からの大食漢/病の進行と食への渇望/子規にとっての「うまい物」
与謝野晶子〈情〉を生きる人の食と生
お菓子屋だった生家/情を生きる、情を詠む/結婚後の食生活/
好物は関西風の薄味料理/女性の食生活改善運動
永井荷風『断腸亭日乗』に描かれた「自炊」と〈外食〉
シングルライフの「食」の楽しみ方/荷風にとっての「自炊」/〈外食〉へのこだわりと謎
志賀直哉 食と色彩、あるいは虫食い好きの直哉
父との不和/母と妻を困らせた洋食偏向/直哉風「すき焼き」の味/
イカモノ食いの志賀直哉?/衣食住への興味が色彩を生む
谷崎潤一郎 芸術としての〈食〉
飽食の現代を予言/お気に入りの店の数々/谷崎家の食卓/
江戸前と上方食への憧憬/芸術としての〈食〉
葛西義蔵 誰よりも愛された酒仙作家
貧乏・酒・病気・女/食事の縁で男女の仲に/
酒の狂酔、苦痛の自己麻酔剤/戒名は「藝術院善巧酒仙居士」
岡本かの子「いのち」を食べる
愛に生きた岡本かの子/パリ滞在から「食魔」の道へ/かの子の食文学の傑作
芥川龍之介 大正時代のスイーツ男子
二万七三六分の一の確率の誕生/食生活は質素そのもの/
「食」を表現するおもしろさ/スイーツ男子だった芥川
宮澤賢治 贅沢な〈粗食〉
「雨ニモマケズ」への疑問/菜食主義への興味/天ぷらそばとサイダー/
食の研究家/賢治からのメッセージ
川端康成〈孤独〉を呑み込む
一〇代で〈孤児〉になる/観察者としての川端/
戦時中も贅沢な食生活を楽しむ/川端の愛した店
林芙美子 俎板と原稿
食・職・男の放浪記/旅先の食事が好きだった/最後の食事は家族団欒の中で
太宰治 津軽の味
酒、煙草、そして豆腐/ブラザー軒のカツレツ/愛し続けた故郷「津軽」の味
檀一雄「私の味」を求めて
両親の事件/料理本の傑作『檀流クッキング』/料理をするということ/
「人間、オギャーと生れてゴトンと死ぬ」
吉田健一 食べること・飲むことの文化
生い立ちに縛られながら/〈くねくね体〉の迷文/
大学での講義前にランチョンで一杯/吉田健一の志向するもの
山田風太郎 千回以上の晩飯
戦争が風太郎文学を作った/自称「アル中ハイマー」/
夫人の手料理を好んだ風太郎/千回以上の晩飯
池波正太郎 ダンディな〈食〉の美学
外食、あるいは内食の思い出/食へのこだわり、文学へのこだわり/
素材を生かした料理を好む/池波正太郎が通った店/人は死ぬために生れてくる
三島由紀夫 事件前の〈最後の晩餐〉
エリート作家の誕生/「蟹」ぎらいから作家論へ/三島のお気に入り/最後の晩餐
向田邦子「う」の抽斗
お茶の間を囲む食事/長女の「家出」/向田邦子の通った店/
向田料理を作ってみよう!/「う」の抽斗
開高健〈食〉と〈知〉の探検家
悪食ロードを行く/健啖ロードを突き進む!/〈食〉と〈知〉の冒険/開高の〈光〉と〈闇〉
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