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第70回日本文学協会国語教育部会
夏期研究集会のご案内

 
 かけがえのない子どもたちひとりひとりの〈いのち〉を育てる国語教室を、どのように創っていったらよいのでしょうか。
 今年のテーマは「第三項がひらく文学教育―読むことの〈価値〉の創造」です。読むことの基盤となるのは、対象を捉えるとはどういうことなのかという言語観です。1980年代の言語論的転回によって、これまでの主体と客体の二項で捉え、正しさを追求する読みは転換を迫られました。それから三十数年経ちましたが、依然として正解があるとされたり、正解がないとされたりというような微温的価値相対主義が、問題とされない事態が続いているのではないでしょうか。この矛盾し、混迷する状況の中で、私たちは国語教育研究と文学研究との相互乗り入れによって、自らの読みを更新し続け、深い学びを追究する実践を積み重ねてきました。読むという行為は、生き方や倫理を問うこと、〈いのち〉を支える営みです。
 第三項論は、言語論的転回が必然的にもたらす価値相対主義を乗り越え、読むことの〈価値〉を創造する原理として、文学教育をひらくものです。主体と客体の二項で対象を捉えるのではなく、主体と、主体が捉えた客体と客体そのもの、三項で捉える世界観認識です。主体によって捉えられた客体は、あくまで主体の捉えたものであり、客体の〈向こう〉に、だれにも到達できない客体そのものを想定します。それぞれが捉えた客体は、それぞれの主体に応じて現象した〈わたしのなかの他者〉です。客体そのもの、すなわち「了解不能の《他者》」はだれにも捉えられません。それぞれが捉えた客体は、客体そのものの〈影〉が、主体に現象させたものです。第三項論に立って、捉えられない「了解不能の《他者》」に向かって読みを追究していくことは、読みの実践、授業に求心力を生み出します。
 次期学習指導要領が告示されました。高等学校学習指導要領においては国語科の目標として「他者との関わり」が提起され、「文学国語」の指導事項には「語り手」という言葉が登場しています。こうした動向は、小学校、中学校の学習指導要領にも潜在している事態です。「予測困難な時代」を切り拓くために、「資質・能力」の問題が提起されていますが、この問題を第三項論という原理に立って、抜本的に捉え直す必要があります。多くの方々の参加を願ってやみません。


テーマ 第三項がひらく文学教育―読むことの〈価値〉の創造

日 時 2018年8月11日(土)~8月12日(日)

会 場 法政大学第二中・高等学校
    神奈川県川崎市中原区木月大町6-1
    JR南武線「武蔵小杉駅 西口」下車 徒歩12分
    JR横須賀線(総武快速線・湘南新宿ライン直通)武蔵小杉駅 横須賀線口 下車徒歩15分
    東急東横線・東京メトロ副都心線・東急目黒線 等「武蔵小杉駅 南口」下車 徒歩10分

日 程
11日(土) (全体会)
 12:00~ 受付開始
 13:00~ 開会挨拶
 13:20~ 基調報告 古守やす子(山梨県立塩山高校)
 14:15~ 問題提起 須貝千里(山梨大学名誉教授)
 15:20~ 実践提案
           山中勇夫(宇都宮市立御幸小学校) 作品『白いぼうし』
           坂本まゆみ(北杜市立長坂中学校) 作品『少年の日の思い出』
           山下航正(広島商船高等専門学校) 作品『夢十夜』「第六夜」
 17:00~ 事務局連絡

12日(日)
午前の部 9:00~12:00 1日目の実践提案の振り返りと補足を受けての討議(分科会)
 小学校分科会 司会 成田信子(國學院大學)
        実践提案 庄司たづこ(紀北町立西小学校) 作品『ごんぎつね』
 中学校分科会 司会 山本富美子(北杜市立明野中学校)
 高校分科会  司会 丸山義昭(新潟県立長岡高等学校)
午後の部 (全体会)
 13:00~ 午前の各分科会の報告および討議
      司会 難波博孝(広島大学)
      報告 成田信子・山本富美子・丸山義昭
 14:30~ まとめ 田中 実(都留文科大学名誉教授)
 14:50~16:20 講演 講師 山田有策(東京学芸大学名誉教授)
 16:30~    閉会挨拶 横山信幸(愛知教育大学名誉教授)

参加費 全日参加 4000円(ただし、学生は2000円) 一日参加 2000円(学生は1000円)
注 意
 ・申込書は、当日受付に出してください。
 ・参加費は、当日受付で払ってください。
 ・駐車場の用意はありません。お車での来場はご遠慮ください。
 ・宿泊は各自で申し込みをお願いします。混み合うこともございますので、早めに申し込みください。
 ・一日目は終了後に懇親会を予定しております。


お問い合わせ 日本文学協会
       〒170-0005 豊島区南大塚2-17-10 TEL/FAX 03-3941-2740
       e-mail:bungaku1946@piano.ocn.ne.jp


ご案内と参加申込書へのリンク(PDF)(プリントしてご使用ください。)







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