■ 公開シンポジウム
第三項と〈世界像の転換〉
――文学教材の価値―― ■
主体が捉えた世界は本物の世界であるというのが主体と客体の二項論です。この常識の世界像からの転換が、今日の文学教育・研究、国語教育の混迷を打開していくことになると私たちは考えています。
主体の言語によって構造化された客体と不可知の客体そのもの、つまり第三項を含み込んだ世界観認識への転換です。
文学教育の再生に向かう国語教育部会の実践・研究の積み重ねも「読むことの根拠」を、この新たなパラダイムに求めてきました。
昨年の公開シンポジウムは、〈主体〉の構築という世界観認識とのかかわりにおいて、文学教材の価値の問い直しを提起するものでした。それは、その前年の公開シンポジウムで文学作品の「語り」が注目され、学習用語に「語り手」が用いられるなどの国語教育の動向に応答した、新学習指導要領に準拠した教科書の「学習の手引き」の検討をさらに深化させたものです。
しかし、〈語り〉の概念は国語教育の研究者、実践者で未だ確定されていないのが現状です。ですから、〈小説〉と〈物語〉の峻別をとおして文学・文学教育を考えてきた国語教育部会の認識にも疑問や批判も出されています。
言語により対象となった世界と、その世界における〈主体〉という認識に立つとき、文学教材の価値をめぐる判断とはどのようなものになるのでしょうか。いま教室の学びの創出とはいかなるものであり、いかにして可能となるのでしょうか。そもそも、いま文学が必要とされるのはなぜなのでしょうか。
今回の公開シンポジウムは、こうした観点からの掘り下げを企図し、「第三項と〈世界像の転換〉―文学教材の価値―」というテーマを立て、これからの国語教育・文学教育を構想したいと考えています。そのため、それぞれのお立場からの問題提起を左記の三人の方々にお願いいたしました。新たな問題の発見や発展につながる活発な議論を期待しております。
どうぞご参加ください。お待ちしております。
記
日時 2015年5月24日(日)
1時開場・1時30分開始・5時終了
(終了後、懇親会。受け付けは当日、会場受付にて行います)
会場 拓殖大学文京キャンパス国際教育会館3階301室
問題提起 齋藤 知也(自由の森学園中学校・高等学校)
成田 信子(國學院大学)
鈴木 啓子(宇都宮大学
司会 大谷 哲(二松学舎大学ほか非常勤講師)
交通 東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅下車 徒歩5分
参加費 1000円(事前申し込みは不要です)
連絡先 日本文学協会事務局 03(3941)2740
日本文学協会国語教育部会
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