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7月号特集 江戸文学における張力――日本・中国・韓国――

 
  日本文学は、古代より大陸から影響をうけつつ発展してきた。そうした影響や発展の蓄積のうえに成り立つ江戸文学においては、引き続き大陸へ関心を持ち、刺激を受ける一方、文学の裾野が広がるとともにジャンルが細分化したために、大陸文化の受容のあり方も多様化した。本特集号では「江戸文学における張力――日本・中国・韓国――」と題し、江戸文学における中国・韓国の影響と、そのもとでの独自の展開を検討することで、江戸文学の実像をより明らかにしたい。前号の中世特集号「東アジアの中の中世文学」ともつながるテーマであるが、東アジアにおける相互影響の様相に注目することで、江戸文学の特色を浮き彫りにしようとする試みである。
 直接に大陸から影響を受けているのは、漢文・漢詩である。しかし日本、朝鮮半島、大陸の知識人が同じ漢文・漢詩を受容し、同じ詩文の創作様式を取っても、その詩文の内容は異なるものになる。例えば韓国女性詩人が、江戸文学と同様に陶淵明や杜甫の詩を規範としながら、官僚の夫や息子と作詩してそれをまとめた詩集を発表するのは、朝鮮半島独自の傾向と言えるのではないか。
 小説では、大陸の俗文学である白話小説に刺激され、日本独自の雅俗・和漢混淆体の文学様式としての上方読本が成立した。また『水滸伝』ばかりでなく、日本と朝鮮半島に翻訳・翻案され、読本に取り入れられた才子佳人小説『金雲翹伝』の影響も見逃せない。さらに広く俗文学全般に日本独自の発展は指摘できる。江戸後期軍談・通俗稗史書の絵本化、絵本読本における娯楽要素の強調など、絵を関連させて読者の関心をかき立てようとする動きが目立つ。黄表紙においてはしばしば異国の人物や文化が取り上げられもする。
 以上のように日本・中国・韓国に注目することで、雅俗・韻文散文の作品のみならず、読者層・本の様式など文学をめぐる状況まで、江戸文学ならではの特色が見えてくるだろう。江戸文学のさまざまなジャンルについて、また中国、朝鮮半島との比較の視点からも広く論考をお寄せいただきたい

     記

 一、締切 2021年4月15日
 一、枚数 35枚(400字詰)以内

『日本文学』編集委員会


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