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7月号特集 西行が切り開いた中世文学

 
 二〇一八年は西行法師が生まれてからちょうど九百年目となる。そのことを契機に、本特集では中世においてこの文学者が切り開いて行ったものを考察したい。
 いうまでもなく『新古今和歌集』最多入集歌人として高く評価されており、中世和歌史に大きな足跡を残している。数多く詠まれた和歌作品の分析、家集・自歌合の考察、他の中世歌人に対する影響、歌論書での言及のように、様々な角度から西行が新たにもたらしたものを見出すことができる。
 対象は和歌の創作にとどまらない。中世文学の様々な作品に登場し、重要な役割を果たしている。その意味を考えることも求められよう。二十三歳で早くも出家したことは、多くの人々の関心を呼び、歌物語『西行物語』の主人公として造形されている。『とはずがたり』の著者・後深草院二条はこの物語の影響を強く受けた一人である。『保元物語』『平家物語』延慶本、長門本等で讃岐の崇徳院墓所を来訪する姿が描かれ、『源平盛衰記』、御伽草子『西行』では悲恋の結果出家する人物とされている。『発心集』の娘との劇的な再会が知られるように、説話文学でもたびたび登場する。『徒然草』第十段における兼好の視点も注目される。謡曲『西行桜』、『江口』も知られていよう。著名な人物故に『撰集抄』等の仮託書も記された。生存中の活動だけでなく、他の中世の文学者が西行をどのようにとらえることで、新しい局面が展開したかを追うのも興味深い考究となろう。中世の仏教思想、神道思想の面からのアプローチも考えられて良い。
 九百年前に生誕した一人の歌僧が中世文学の変化、発展をどのように導いたのか。多様なジャンルの研究者からの積極的な投稿を期待している。
  
     
           記


 一、締切 2018年4月20日
 一、枚数 35枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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