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5月号特集 検定教科書と古典  

 
  本特集では、古代前期・後期のテクストを対象に文部科学省検定済教科書(以下「検定教科書」)と古典について、研究と教育現場との葛藤の観点から教材化の諸問題を考える。本文選択、学習の手引きや脚注、脚問などが、なぜ現行のようになっているのかをじっくり考えた上で、検定教科書のあり方、さらには今後の古典のあり方を提案する論考を求めたい。
 『日本文学』ではたびたび教科書と文学との関係や問題に取り組んできた。協会の外でも梶川信行編『おかしいぞ!国語教科書』や松尾葦江編『ともに読む古典』などが出版され、活況を呈している。これは教科書が極めて権力的な装置であり、そこに掲載され、解釈を加えられることがテクストの価値を決めるかのような機能を有するからであり、それゆえに昨今の人文学の危機と密接にかかわると認識されているからであろう。
 研究者の側から検定教科書を論ずるとき、ともすると最新の研究成果と現場との乖離を指摘しがちであるが、一方で編者には研究の場に身を置く人間も名を連ねている。また、授業を行う現場の事情もあるだろう。検定教科書には、作る側、授業をする側、受ける側、あるいは売る側など、様々な立場が入り混じる。一方の立場・価値観を押し付けるばかりでは、創造的かつ現実的な議論は成り立ち得まい。
 検定教科書が、「検定」された、それも「教科書」という二重の権力的フィルターを通したものであるがゆえに、好むと好まざるとにかかわらず、古典の享受の大きな流れを作ってきたことは間違いない。授業を受ける側の人間にとって、ここに載る古典が、人生でふれる最初の古典であるかもしれないし、最後の古典となってしまう可能性もある。これを積極的に評価すれば検定教科書は大きな影響力と可能性を秘めたメディアであるともいえる。
 今この時宜を得て、検定教科書と古典の関係について多方向からの議論を期待したい。


           記

 
  一、締切 2018年2月20日
  一、枚数 35枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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