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11月号特集 「近代化」言説の光と影のあわい

 
 1968年6月に東京都立大学(当時)で開催された日本文学協会第23回大会は、文学の部で「日本文学における「近代」」を、国語教育の部で「国語教育における「近代」」をテーマに掲げた。このテーマ設定は、政府によって主導された「明治百年記念事業」の展開に対する、歴史学界などを中心とする批判・対抗の動きに呼応するものであった。50年前の「日本の近代(文学)」をめぐる議論の盛り上がりは、もはや記憶としてではなく記録として残る事件となろう。本誌から窺う限り(「大会案内」68年4月)、そこでは実体としてであれ理想としてであれ、「日本の近代(文学)」を語る枠組(近代化モデル)の再構築と、その未来を占うパースペクティブ(歴史観)が希求されていた。
 時は流れ、2018年は「明治(維新)150年」に当たり、再び政府を中心にした関連施策の推進が行われている。その顛末は全く予測できないが、それとは別に、われわれは「明治150年」を、「文学」が「近代(文学)」について語ってきたこと、そして「近代(文学)」について語ることそれ自体を再検討する、一つの契機となしうると考える。
 「始まり」も「終わり」も見えないように思われる今日の状況のなかで、一定のリアリティとアクチュアリティを担保した「われわれの近代(文学)」の物語はどのようにして可能になるのか。それは単一の大きな物語なのか複数の小さな物語群なのか。複数だとすれば、それはどのようなバリエーションで分布するのか。そのような物語は何を光のなかに照らし出し、何を影の領域に排除するのか。そのような影の領域について、どのような語りが可能なのか。単純な善悪の選別では片付かないそれらの問いに答えを導くルートは、歴史小説や時代小説など「歴史」を直接的に語っているジャンルや、ノンフィクション・ルポルタージュなど「歴史」の影に光を当てるジャンルに見出せそうだが、あくまでも一例に過ぎない。会員諸氏の果敢なルート開拓に期待する。

     記

 一、締切 2018年8月20日
 一、枚数 35枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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