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1月号特集  「語り」をめぐる断層と創造

 
   本号の特集テーマは、二〇一六年秋に行われる大会の第二日目午後のシンポジウム「『語り』をめぐる断層と創造」との連関のなかに位置付けられています。そして、二〇一四年一月号「教科書と文学」、二〇一五年一月号「教科書と文学U」、二〇一六年一月号の「教材としての文学の歴史性と可能性」を引き継ぐものでもあります。
 近年、日本文学協会の大会第二日目のシンポジウムと一月号特集は、文学研究(古典文学、近代文学)と国語教育との、さらに言えば、研究における思考と教室における実践とが往還する現場に立つ全ての人たちによる対話の場を設けることを企図しています。
 二〇一五年秋の大会シンポジウム文学研究の部では「定番教材を問い直す」と題し、芥川龍之介「羅生門」を対象に議論が行われました。各報告においては、語り手がこの物語を語ることの必然性や、語り手と下人と老婆がどのような言説によってその「存在」を絡めとられていくかなどの問題提起がなされました。今年度のシンポジウムもこの議論からの連続性のうちにあります。すなわち「語り」をどう読むか、あるいは「語り」を読むとはどのような営為か、ということです。
 「語り」を読むとは文学研究において基礎的な作業です。対象が古典文学であれ近代文学であれ、誰が誰にどのように語っているか明らかにすることを無視しては研究は成り立たないと言えましょう。そのようにして「語り」の力学を読み解くことがテクストの無意識をあぶり出し、テクストをより豊かにしてきたはずです。しかしながら、古典文学研究が用いる「語り」と近代文学研究が用いる「語り」とは、果たして方法論として同一の概念なのでしょうか。そこに断層はないのでしょうか。一方、国語教育部会が一貫して「語り」を読むことを原理的に探究し、教材となる文学作品を対象とした授業実践に大きな変革の成果を齎したことは周知ですが、この「語り」をめぐる原理的な探究と文学研究との創造的な対話も、今、一層求められていると言えるでしょう。
 本特集は、それぞれの分野が「語り」を問い直し、文学理論の基底を横断的に再考する場を設定するというシンポジウムと連動し、この課題を深く探究したいと企画しました。もちろん、理論や方法論を概説的に披露するような場となっては意義がありません。論稿それぞれが具体的な作品を対象に「語り」によって新たに拓ける知見を呈示し、広く共有しうる課題を提出し、対象となるジャンルや時代、研究と教育を架橋し対話を促す特集となることを期待します。


           記

 
  一、締切 2016年10月20日
  一、枚数 35枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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