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7月号特集 中世文学における分類と配列

 
  
   本特集では、中世文学における分類と配列の問題を考えたい。なぜなら書物を著す、もしくは編纂する際に、どのように分類し、どのような順番で並べるか、ここに著者・編者の意図が窺えるからである。
 中世はさまざまな説話集が編まれた時代であるが、分類と配列に関しては、集ごとに独自の方法を採用している。それら説話集がいかように世界を認識したか、またどのような世界観を表明しようとしたか、分類と配列に着目することで見えてくるものは多いはずである。他にも軍記物語や日記文学では、記事の順番が問題となろう。出来事が起こった順ではなく、時には過去に遡ったり、あるいは未来を先取りしたりする記事配列は、それぞれ異なる表現効果を生み出していく。『平家物語』『曽我物語』『太平記』などには物語の本筋からはずれる記事もふんだんに挿入されるが、どれがどのような順序になっているか、諸本ごとに相違が見られる。
 あるいは『節用集』に代表される古辞書の多くがイロハ順に配列されたように、利用する者にとって使いやすいよう配列が工夫される傾向も見られる。類題集や名所歌集は、出題・詠作の便宜をはかるため、歌題や名所ごとに和歌を分類・配列している。さらに、利便性の追求だけではなく、順序立てて分類すること自体に価値を認め、多くの文献を抄出し、再編しようとする行為そのものも中世の特徴と言えよう。中世最大規模の類題集である『夫木和歌抄』は、『古今和歌集』以来の伝統的な勅撰集の配列をさらに細分化しながら、特異な歌題で作られた和歌を加えて部門ごとに分類した。他にも『藻塩草』のように、それまでに記された書物をできうる限り収拾し机上に並べ、そこから抄出し分類し再編する、あたかも百科事典を作ろうとするような行為がそれぞれのジャンルでなされている。
 今回、分類・配列の問題に拘ることで、中世文学の特徴とは何かを明らかにしたい。さまざまなジャンルからの積極的な投稿を期待したい。
    

     記

 一、締切 2015年4月20日
 一、枚数 35枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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