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11月号特集 発禁・検閲・自主規制

 
  
   言葉狩り、表現狩りがはじまっている。
 「慰安婦」報道、原発事故報道をめぐる『朝日新聞』叩きにはじまり、公民館の月報から俳句が掲載を拒否された事件、全国で湧き起った『はだしのゲン』閲覧制限や撤去請願、『美味しんぼ』の「鼻血」描写に加えられた圧力など、ここ数年、言葉と表現をめぐる検閲と自主規制は様々な領域に及んでいる。原発事故の被害を話題にし、声を上げることすら、「絆」と「復興」の名のもとでは許されないといった風潮もますますエスカレートしてきている。
 さらに特定秘密保護法の施行がこれに加わっていく。よく知られているように、「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要である」「特定秘密」(第三条第一項)の範囲は必ずしも明確ではなく、その指定は第三者からのチェックを欠いた「行政機関の長」による恣意的解釈・判断に委ねられている。これは研究対象、内容の如何を問わず、それに携わる者がある日突然、国家によって恣意的に逮捕・処罰される時代がやってきたということを意味する。見えない検閲に配慮した研究の委縮、自主規制が、近い将来に起こってもおかしくはない状況が生まれてきているのだ。
 今回の特集では、特に3・11以後蔓延する口封じの風潮をにらみつつ、近現代文学が直面してきた発禁・検閲の諸相とその歴史をあらためて掘り起し、批評的な検討を加えたい。権力による発禁や検閲の問題にとどまらず、それを意識するがゆえの自主規制(作者による、編集者による、出版社による)の問題をもあわせて考える必要がある。自主規制の行き着く先は、「規制」を「規制」とさえ意識しなくなる時局迎合作品の垂れ流しでしかないからだ。だが同時に、規制のなかでこそそれに抗う創造的な文学の営みがありうることも新たな視角から読み出してみたい。
 沈黙せずに抵抗するための可能性を探る、幅広い視点からの意欲的な投稿を期待する。
       

     記

 一、締切 2015年8月20日
 一、枚数 35枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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