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8月号特集 〈第三項〉と〈語り〉
――ポスト・ポストモダンと文学教育の課題V

    本特集号のテーマ「〈第三項〉と〈語り〉」は、今年で三度繰り返されます。そもそもポストモダニズムとは、モダニズムを相対化する思想や運動を意味していました。ポストモダンにおいては、確固とした固定点、自律的な主体概念は批判の対象でした。ポストモダン思潮の席捲は、実体的主体概念ばかりか、文学の生命である〈文脈〉を、「読むことの根拠」を根こそぎ葬りました。文学・文学教育研究の価値相対主義の乗り越えと、ポスト・ポストモダンの展望をいかにひらくかとは、文学教育の問題として切り離されてあるのではなく、研究・批評・創作を含め文学文化領域、隣接領域・思想状況とも連関しています。
 その取り組みを牽引したのが、主体(読み手)と客体(対象の文章)の二項に、客体そのもの・〈第三項〉としての〈原文〉を介在させた〈第三項〉という《超越》を内包した世界観です。
 昨年八月号に寄せられた論考では、ポストモダンのネガティヴィティを徹底的に潜り、モダンへ後退することなく〈主体〉の構築をいかに可能にするのかという問題意識と、並大抵ではない「読むこと」の困難さが鮮明になりました。同時に〈第三項〉理論を教育現場に生かし、文学作品の力を存分に発揮できるようにするにはどうすればいいのかという葛藤と力強さがあります。また大会では、《超越》的な領域を含みこんだ思考が共有される一方で、建設的な議論に向けた前提の確認・調整・合意の点でさらなる開鑿の課題も浮上しています。文学文化の共同性のありようが、問いを抱え続ける切実さや自意識を欠いたまま形骸化していくものだとすれば、看過できない事態です。以上が本テーマを、三たびここに掲げる所以です。
 「物語」の深層領域と〈語り〉の相克を構造化しえたとき、読み手自身が批評の対象に反転します。ことばの制度の瓦解を伴う〈主体〉の構築。それは、〈語り得ぬもの〉を語ろうとする《声》を、聴きとろうとする倫理的主体の別名ではないでしょうか。
 積極的な論考をお寄せいただきたいと心から願います。
     

     記

 一、締切 2014年5月20日

 一、枚数 35枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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