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1月号特集 リテラシーと文学

 近年「リテラシー教育」の必要が説かれている。リテラシーとは一般的には「読み書き能力」と訳されるが、情報活用能力を「情報リテラシー」と呼ぶように、活用能力を意味する語として幅広く使われている。「リテラシー教育」は言語活用能力向上の教育といった意味になるだろうが、この言語活用能力向上のスローガンが、今広く日本の文学教育もしくは文学研究の場を席巻していると言っていい。このリテラシー全盛の時代のなかで文学を確かなものに摑みなおすためにも、改めてリテラシーと文学との関係を見つめ直そうというのが本特集テーマの意図である。
 言語活用能力すなわち「読み書き能力」への努力はいつの時代にもあった。むろん、その努力の促しの背景には知の支配を目指す国家の意思があったろうし、特に近代にあっては国民国家の成立が、国民に一定のレベルの「読み書き能力」を求めたであろう。とすれば、リテラシーと文学との関係は、その時代の国家権力が必要とした言語活用能力に大きく規制されるものとしてあった。一方、リテラシー向上の現場は、知的な欲求、娯楽、宗教、生活上の理由等様々な動機に満ちていたであろうし、あるいは国家の意思からずれてしまうことも起こりえたろう。つまり、国家の期待するリテラシーと実際のリテラシーとは簡単には一致しないものであり、リテラシーそのものもまた均質ではなく多様である。このような観点から見れば、リテラシーと文学との関係もまた多様である筈である。また、もともと文字をもたないが故に漢字を用い、常に外国文化の強い影響下にあった日本のリテラシーは、外国語リテラシーという一面もあったということを忘れてはならないだろう。
 それぞれの時代のリテラシーに文学はどのような影響を受けたのだろうか。そもそもリテラシーと文学の関係はどのように解されるべきなのか。会員諸氏からの様々な論考を期待したい。
     記
 一、締切 2010年10月20日
 一、枚数 35枚(400字詰)程度

                                              『日本文学』編集委員会