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1月号特集 文学/教育のなかの〈子ども〉

 子どもの意味やイメージは、時代において必ずしも同一ではない。〈子ども〉とは、歴史的社会的、文化的に切り出された「記号」にほからならないからである。〈子ども〉はその時代時代の通過儀礼を経て大人とされていった。年齢にふさわしい容姿(衣服や髪型など)が定められていたり、〈子ども〉専用の書き言葉や、話し言葉の存在も知られている。また〈子ども〉は境界的な役割を担わされ、神仏仙に近く超人的で、聖なる存在としての意味も持っていたという。
 文学/教育のなかの子ども論は、年齢としての子どもにその対象を限定することはできない。年齢的には大人であっても、童形であり続けた童子や、芸能に登場する童姿の人物たちなども子ども論の対象となるからである。〈子ども〉であり続けることによって、はからずも性別を超越することになったこれらの存在は、性についての我々の常識に再考を迫るだろう。さらに、神話の世界における〈子ども〉としての神、寺社に召し使われた稚児、恋愛の相手方である若衆や小姓、見習い遊女としての禿、さらには家や共同体意識のなかでの〈子ども〉にも注目したい。
 その他、文学に表象された〈子ども〉、文学の読み手としての〈子ども〉、訓蒙・啓蒙・教育の対象としての〈子ども〉、少年少女用とされた読み物、ジャンルとしての童話あるいは児童文学、出版ジャーナリズムのマーケティングの標的としての〈子ども〉、時代によって変遷する子育て観、そして国語の教室における〈子ども〉像などの問題も、検討の対象として浮上してくるだろう。
 文学/教育のなかの〈子ども〉は、従来の文学研究、国語教育研究の在り方を相対化する視座を、数多く提供してくれるのではないだろうか。
 会員諸氏からの斬新な論考を期待したい。
         
       記
      一、締切  2009年10月20日
      一、枚数  30枚(400字詰)程度
                                 『日本文学』編集委員会
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