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8月号特集  〈文脈〉を掘り起こす――文学教育の挑戦――

  文学作品を読むとはいかなることか。教育にとって、文学とはどのような教材価値を有するものなのか。そもそも、文学を生成させている〈ことば〉とは何か。私たちは、「読むこと」の始発点に立つための省察をこれまでも試み続けてきた。その歩みは、文学研究の基底を再考する営みに通じ、教育の根幹に横たわる問題群を炙り出すことにも接続される。
 二〇〇六年に公布・施行された「改正」教育基本法を受けて、二〇〇八年三月二八日に公示された小・中学校の新学習指導要領では、「伝統文化」という復古主義や新自由主義に貫かれた競争主義・成果主義が背後に控え、国語科においても実体的言語観に基づく実用的言語運用能力の育成が目指されている。教育を取り巻く状況の根にある部分を的確に撃ち、深層に潜む問題と対峙していくためにも、「読むこと」の原理を追究する営みは更に前進されなくてはならない。
 〈ことば〉を実体とし、道具のように扱う態度では決して見えてこない世界が確かにあること、「語り」のあり方を見つめなおすことで浮上する小説の秘密。文学作品に内包される豊かな可能性を引き出し新しい状況を拓いていくことは、益々強く要請されているだろう。昨年の本誌八月号では、こうしたアプローチによる具体的な領野の開拓を「文学教育の転回と希望―〈文脈〉を掘り起こして―」というテーマ設定によって企図したが、本年度はこれを一層発展させ、「読むこと」の問題をより深化させるために、メイン・テーマとして「〈文脈〉を掘り起こす」を掲げ、再度問い直すこととした。対象とする文学作品の〈文脈〉は、いかなる仕組みによって読者に現象し、それを読み手は、どのような形で自らの生の課題に活かしていくべきなのか。教材価値の新たな発見にも通底するそのような視座に基づく論考を集めることで、「文学教育の転回と希望」を次のステージへと高めていきたい。「文学教育の挑戦」という副題を冠した所以である。
 意欲的、かつ刺激的な論考が多数寄せられることを切に希望してやまない。
     記
 一、締切 2009年5月20日
 一、枚数 30枚(400字詰)程度
                                                『日本文学』編集委員会


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