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7月号特集 中世文学を生み出す環境

 

 文学はつねに、ある環境の中から生み出されてくる。あらゆる文学表現は、それを生み出し、それを読む人たちがいる環境の中で意味づけられていく。その時代やジャンルの代表者と評されている作者たちの個性的な資質もまた、ある環境の中で次第に培われていったものに他ならない。文学と環境は決して切り離すことができない関係にある。
 本特集は、私たちが絶えず問い続けなければならない、文学を生み出す環境をテーマとして、中世文学に関する実態に多方面から迫っていくことを目的としている。
 文学と環境をめぐる議論は、ややもすると成立論や作者論、あるいは伝承の管理圏に関わる問題として扱われがちである。しかし、本特集ではそうした検討だけを期待しているわけではない。近年、あらゆるジャンルに関して改作や再創造という営みに光が当てられている。こうした動向に照らせば、それは享受論や受容論の一環としても検討されるに値する。
 また、具体的な場を見定めながら、その質を問うこともできよう。学問・講釈・伝授・注釈等が実践されている場、信仰や聖地を語り広める場、過去を意味づけ歴史を紡ぎ出そうとする場、観念と実景のはざまに揺れ動く歌枕や名所と向きあう場、演者と享受者がせめぎ合う芸能空間など、私たちが具体的に解明していくべき環境は無数に存在している。加えて、地理的にみても文学を生み出す環境は多極化していった。国内外の地域間交流を視野に入れた文学環境の実態解明も大いに期待されるところである。
 そもそも、『看聞日記』を記した貞成親王の例にみるごとく、あらゆる文学作品は地続きの環境の中で、並び立ちながら流通している。そうした環境を見つめ直すことで、ジャンルや作品ごとに細分化されがちな昨今の議論を、横断的に連携させていくこともまた本特集のねらいのひとつである。会員諸氏の意欲的な投稿を期待したい。
    
      記
  一、締切 2009年4月20日
  一、枚数 30枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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