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8月号特集 文学教育の転回と希望
      ――〈文脈〉を掘り起こして――

 新学習指導要領の改訂作業がすすめられている。「改正」教育基本法を前提とし、「ゆとり教育」を見直し
「学力向上」がめざされている。従来からの「生きる力」という教育目標を引き継ぎ、全教科で「思考・判断・表現」力を育成することが課題とされ、そのために「国語力」が重視されている。学習の実際においては、習得と活用の学習、伝統文化の尊重、目的や場面に応じて、ということが求められている。

 問題の焦点は何か。国語科においては「目的や場面に応じて」という点に集約される。しかし、このことは「日常生活や社会生活の…」ということだと言われるだろう。そうであるならば、このことは否定されることではない。しかし、このことが学習指導要領の「指導事項」に置き換えられ、そこから逆算して学習が考えられていくのであるならば、話は別である。学習対象の「文脈」の掘り起こしが看過されてしまうからである。「文脈」の裁断が前提にされてしまうからである。このことが「指導事項」の「習得と活用」という、自己目的化を招来してしまう。こうした事態を危惧するのは、「文脈」問題が、実体か、非実体か、という二元論で、かつ曖昧な二元論として、いまだ放置されていることによる。

 しかし、今日の言葉の学びに求められていることは、言語論的転回が切り開いたアナーキー問題を切実な問題として受け止め、世界の、了解不能の複数性に向き合っていくことである。この問題に正対し、その上でそこに止まることなく、再度の転回を図っていくことである。「文脈」は実体でもなく、非実体でもなく、「第三項」問題として問われなければならない。〈文脈〉という表記はそのことを提起している。

 日本文学協会の国語教育部門では「第三項」問題を長年にわたって検討し、〈原文〉とか、〈機能としての語り〉とかを問題にし、議論を重ねてきた。本特集によって、学習指導要領の改訂動向を踏まえて、「文学教育の転回と希望――〈文脈〉を掘り起こして」という課題を提起する。文学教育の根拠の解明、読み方の問い直しをさらに推し進め、国語科教育の大転換を図っていくことをめざして、である。意欲的な投稿を期待している。
   
  記
 一、締切 2008年5月20日
 一、枚数 30枚(400字詰)程度
                                                  『日本文学』編集委員会   


   
    

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