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7月号特集 宗教をめぐる中世の言説

   

 中世文学の特集号として、「宗教」を取り上げる。本誌では一九九六年七月号で「中世における聖なるもの」の特集を組んで以来、久しぶりのこの分野での特集である。
 近年、中世文学と宗教とを横断的にとらえようとする研究が活性化し、分析対象となる資料やその成果が著しい拡張と深化とを見せていることは周知の事実である。こと中世文学に限って言えば、宗教は諸作品と分かち難く結合しており、この点を勘案した研究は、単に文学研究に周辺学問を応用するという枠を超えた重要性を持っていることが次第に明らかとなりつつある。もはや、中世文学と宗教といえば、かつてのような『方丈記』や『徒然草』の無常論や、五山文学の研究をすぐ思い浮かべる、というような限定された状況ではない。
 
 こうした動向の先には、中世文学関連テキストの分析から、中世宗教研究の新たな展開が見えてくるという事態も起こりうるのではないか。たとえば、能その他の作品中に散見された「後戸」の語から宗教と芸能の秘儀が明らかにされたことなどが想起される。或いは逆に、宗教テキストであっても、文学研究の側からのアプローチによって、新しい相貌を見せるということもあるはずである。『渓嵐拾葉集』や直談書、儀礼書・文例集を含めた唱導文献を始めとする中世仏書を文学の観点から読み直す試みが現在進行中である。
 
 また、仏教のみならず神道・神祇研究の分野でも、「中世日本紀」や、伊勢神宮に関わる即位法、神祇歌・釈教歌に代表される中世和歌など、豊穣なる言説世界のありさまを解き明かそうとする重要な課題が続々と文学研究の土俵に上げられている。

 中世において、仏教および仏教と習合した神道は、文学の多くの分野に深く浸潤している。それは、和歌・今様・物語・軍記・能・幸若・説話・随筆・紀行など、ほぼ中世文学のすべてに及ぶ。宗教と文学との融合の中から生まれた言説の意味を問い、中世という時代とその中で生みだされた文学の特質を掘り起こす意欲的な論文を、各ジャンルから発信していただきたい。
          記
  一、締切 2008年4月20日
  一、枚数 30枚(400字詰)程度

『日本文学』編集委員会


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