■山下久夫・斎藤英喜編『日本書紀一三〇〇年史を問う』■
2020年6月20日 思文閣出版刊 431頁 8500円+税
|
序 なぜ《日本書記一三〇〇年》を問うのか(山下久夫・斎藤英喜)
Ⅰ 古代
第一章 成立前後の日本書紀(関根淳)
一 神代巻の構造と「一書」
二 書紀所引の諸本と異本
第二章 天文異変と史書の生成――舎人親王の作品としての『日本書紀』(細井浩志)
一 『日本書記』の天変
二 『日本書記』天変記事の原資料に関する考察
三 小墾田宮の伝領と天変記録の伝来・集積
第三章 日本書紀と殯宮儀礼――モガリ(殯)のアルケオロジー(呉哲男)
一 殯宮儀礼とは何か
二 モガリ(殯)の考古学的発掘
三 日本書記にみる殯宮儀礼
四 モガリ(殯)空間の創出
五 殯宮儀礼の再定義 〈研究ノート〉日本書紀とシャーマニズム(アンダソヴァ・マラル)
Ⅱ 中世
第四章 『釈日本紀』、『日本書紀纂疏』から『神書聞塵』へ
――中世における〈注釈知〉の系譜をもとめて(斎藤英喜)
一 「日本紀之家」の始発として――『釈日本紀』
二 室町の学知の爛熟――『日本書記纂疏』
三 あらたな「神道」の創生へ――『神書聞塵』
第五章 『八幡宇佐宮御託宣集』の「神代」と「日本紀」(村田真一)
一 八幡信仰と日本紀の中世の交点へ――研究史と課題
二 『託宣集』における「日本紀」⑴――祭祀顕現の起源
三 『託宣集』における「日本紀」⑵――異国降伏の起源と応神天皇
四 『託宣集』における「神代」説
第六章 伊勢の日本紀――道祥と春瑜の『日本書紀私見聞』をめぐって――(星優也)
一 中世日本紀としての『日本書記私見聞』
二 春瑜本の神話世界
三 伊勢の日本紀――道祥本の達成
第七章 神仏を生む中世の神代巻
――大日孁貴から天照、大日霊から大日如来へ――(松本郁代)
一 大日如来の本地化と「大日孁貴」
二 訓みにみる「大日孁貴」の姿
三 皇祖神から伊勢皇太神への変容
第八章 中世神学と日本紀――一三~一四世紀における至高の神と霊魂の探求(小川豊生)
一 「俗神道」と「一神」
二 麗気神学と天空の神
三 〈狭霧の神〉の建立――度会家行と慈遍の神学
四 神をつくる霊――霊魂一元論と本地垂迹思想の解体
〈研究ノート〉
スサノヲの「悪」をめぐって
――『釈日本紀』から『日本書紀纂疏』の変遷を考える――(鈴木耕太郎)
Ⅲ 近世
第九章 「附会」と「考証」のあいだ――垂加神道の『日本書紀』解釈(齋藤公太)
一 神代巻の不可解さ
二 「土金」と皇統
三 「天人唯一」の振幅
四 古言と古事
第一〇章 忌部正通『神代巻口訣』と忌部神道(伊藤聡)
一 忌部正通の『神代巻口訣』
二 忌部神道と広田担斎
三 八箇祝詞について
四 忌部神道と垂加神道
五『色弗口訣』と今出河文斎
第一一章 近世儒者の神代巻批判と「神道」「上古」――鈴木貞斎に即して(松川雅信)
一 神代巻批判
二 「上古」における「神道」
三 「神道」提唱の同時代的意義
第一二章 宣長『古事記伝』と重胤『日本書紀伝』――起源神話の創造として(山下久夫)
一 宣長『古事記伝』の神話創造と日本書紀
二 重胤『日本書紀伝』の起源神話創造
第一三章 近世日本における「天壌無窮の神勅」観(前田勉)
一 第一期 初期儒家神道
二 第二期 垂加神道
三 第三期(一)本居宣長
四 第三期(二)平田篤胤学派
五 近代の「国体」神話
Ⅳ 近現代
第一四章 初期ジャパノロジストと日本書紀の翻訳(平藤喜久子)
一 宗教学、神話学の草創期と翻訳
二 レオン・ド・ロニのフランス語訳
三 アストンの英訳
四 フローレンツのドイツ語訳
第一五章 教派神道の『日本書紀』解釈と朝鮮布教
――佐野経彦の「建白書」を中心に(権東祐)
一 近代神道の世界宗教志向
二 再生する中世神話
三 『日本書紀』と朝鮮半島
四 檀君との習合
五 佐野経彦の神話解釈と朝鮮布教
第一六章 読み替えられた『日本書紀』の系譜と折口信夫(斎藤英喜)
一 「日本紀」講義と折口学――「希客者」の訓みをめぐって
二 「国文学の発生」と『日本書紀』解釈
三 「大嘗祭の本義」と真床襲衾の解釈史
第一七章 近代歴史学のなかの『日本書紀』――建国神話を中心として(田中聡)
一 「神代」と「人皇代」の同列視(一八八〇年代)
二 人民史・国民史としての「神代史」(一九一〇年代)
三 氏族共同体と英雄の物語(一九三〇~五〇年代)
あとがき
索引
執筆者紹介
|
Copyright (C)2006 日本文学協会, All Rights Reserved.
|