■法政大学江戸東京研究センター編 小林ふみ子・中丸宣明編著
『好古趣味の歴史 江戸東京からたどる』■
2020年6月15日 文学通信刊 270頁 2800円+税
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古き江戸をいかにたずねたか――はじめに(小林ふみ子)
Ⅰ 知識を集め地理をひもとく
1 江戸の歴史のたどり方――考証の先達、瀬名貞雄・大久保忠寄と大田南畝(小林ふみ子)
考証随筆の成立まで
文事の旗本たち
瀬名貞雄・大久保忠寄の交渉と考証、そして南畝
『新編江戸志』増補改訂作業
山東京伝の考証へ
2 「長禄江戸図」と馬琴の地理考証――「神宮」をめぐる混乱(神田正行)
「長禄図」の素性と伝播
『八犬伝』の「かには」
Column 江戸回顧の時代と文学者の地誌――幸田露伴「水の東京」の試み(出口智之)
3 鷗外歴史文学の〈江戸〉像――時間・空間の語りかたに注目して(大塚美保)
時間・空間の特徴的な語りかた
存在証明としての時間・空間
時が積み重なる場所――結びにかえて
Ⅱ 風俗や慣習の由来を探る
4 新興都市江戸の事物起源辞典――菊岡沾凉『本朝世事談綺』考(真島望)
『本朝世事談綺』について
典拠と利用態度
「江戸」へのまなざしとその影響
5 七兵衛という飴売り――柳亭種彦の考証随筆『還魂紙料』(佐藤悟)
柳亭種彦
千年飴と千歳飴
浮世草子に見る千年飴
俳諧に見る千年飴
歌舞伎に見る千年飴
浄瑠璃に見る千年飴
若千年は七兵衛か
6 失われた端午の節句「印地打」――日本人と朝鮮人のまなざしから考証する(金美眞)
朝鮮通信使と日本の年中行事
日本人が見た端午の節句――「印地打」から「菖蒲打」への推移
朝鮮人が見た〈江戸〉の端午の節句――「印地打」をめぐって
Column 風俗を記録する意図――雑芸能者たちの〈江戸〉(小林ふみ子)
Ⅲ 盛時の歌舞伎と遊里の面影を求めて
7 古画を模す――京伝の草双紙と元禄歌舞伎(有澤知世)
元禄歌舞伎への関心
『松梅竹取談』における考証
『松梅竹取談』における古画とデザイン
鳥居派の古画を模す
8 古画の収集と考証――京伝読本の発想源(阿美古理恵)
京伝による師宣と一蝶の古画考証
竹垣柳塘と師宣、一蝶、元祖市川団十郎
英派の再興
京伝没後の不破名古屋考証
Column 其角の記憶・追憶・江戸残照(稲葉有祐)
Ⅳ 響き続ける江戸
9 受け継がれた江戸――高畠藍泉の考証随筆(中丸宣明)
藍泉・二世柳亭種彦の位置
考証随筆と藍泉
10 「趣味」(Taste) とは何か――近代の「好古」(多田蔵人)
「趣味」の登場
趣味の変容
Column 趣味を持ちにくい町(多田蔵人)
11 江戸漢詩の名所詠と永井荷風(合山林太郎)
江戸の名所詠(一)――服部南郭の隅田川の詩
江戸の名所詠(二)――大沼枕山の上野を詠った詩
荷風の随筆と江戸漢詩
『下谷叢話』における考証と江戸漢詩
12 〈江戸〉をつくりあげた石川淳(関口雄士)
原体験としての〈江戸〉
独自の〈江戸〉の発見と〈江戸留学〉
戦後の〈随筆〉という方法――永井荷風への認識を通して
〈江戸〉をつくるということ
あとがき(中丸宣明)
江戸を知る文献22点(小林ふみ子)
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