■新・フェミニズム批評の会編『昭和後期女性文学論』■
2020年3月28日 翰林書房刊 460頁 4200円+税
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Ⅰ 戦争の傷痕/占領下からの出発
占領下の宮本百合子――民主化・女性の独立・反戦平和をめざして(岩淵宏子)
〈防波堤〉としての〈闇の女〉
――中本たか子「基地の女」/平林たい子「北海道千歳の女」(渡邉千恵子)
林芙美子における〈戦争未亡人〉の表象
――『うず潮』「骨」『茶色の眼』を視座に(アダム・グレグッシュ)
耳鳴りの耳が聴く声――正田篠枝の原爆短歌(遠藤郁子)
大田洋子の現代性――その告発と流浪(和佐田道子)
東アジアの〝想起〟の文学――松田解子『地底の人々』(岡野幸江)
コラム・原爆と核(野田敦子)
敗戦と占領(秋池陽子) /
Ⅱ 戦後を生きる女たちの記憶
円地文子「黝い紫陽花」――戦時下における〈聖家族〉の崩壊(羽矢みずき)
小林美代子「蝕まれた虹」――〈語り合い〉への意志と挫折(永井里佳)
壺井栄「風」「空」論――生活者/女性の視点で捉えた革命運動(小林裕子)
大原富枝「ストマイつんぼ――第七感界の囚人」論――「書くことは生きること」へ(伊原美好)
少女労働者の抵抗――佐多稲子の「キャラメル工場から」と「水」(王晶)
阿部静枝の戦後――歌集『霜の道』と評論活動をめぐって(内野光子)
石垣りん・人災と天災の同一視を批判――詩「雪崩のとき」をよむ(高良留美子)
コラム・新憲法と女性の解放(阿木津英) /
Ⅲ 多様な表現/制度への揺さぶり
〈母〉から遠く離れて――野溝七生子「沙子死す」の「私」(橋本のぞみ)
吉屋信子『安宅家の人々』――宗一が結んだ二人の〈女たち〉(小林美恵子)
幸田文『きもの』――るつ子の憂鬱と結婚の悲劇性(菊原昌子)
森茉莉『恋人たちの森』――〈死なない〉美少年の意味(近藤華子)
野上弥生子『森』――深層の〈母と娘の物語〉(吉川豊子)
秋元松代〈書く女〉と演劇――「山ほととぎすほしいまま」を中心に(有元伸子)
コラム・朝鮮戦争とベトナム戦争(秋池陽子)
安保条約と基地問題(秋池陽子) /
Ⅳ 女性戦後派の挑戦
「パルタイ」と文学場――出発期の倉橋由美子と批評のジェンダー(藤木直実)
「黒さ」と想像力――有吉佐和子『非色』の世界(小林富久子)
〈病〉の文学から読む『苦界浄土 わが水俣病』――〈語り〉と〈聖性〉(沼田真里)
大庭みな子『霧の旅』――性的主体としての「生」と「語り」を拓く(北田幸恵)
戦争と女学生――高橋たか子『空の果てまで』と林京子『祭りの場』の〈怨〉(長谷川啓)
〈女〉から〈わたし〉へ――茨木のり子詩作品を読む(羅麗傑)
コラム・高度経済成長と公害問題(松田秀子) /
Ⅴ 近代幻想からの越境 津島佑子『寵児』――〈想像妊娠〉というストラテジー(矢澤美佐紀)
増田みず子『シングル・セル』――「孤細胞」と「命のしくみ」(溝部優実子)
干刈あがた『黄色い髪』――〈令和〉の社会を告発する(中島佐和子)
山田詠美『ベッドタイムアイズ』――母親探しと言葉の獲得(但馬みほ)
李良枝の文学世界――突然死による未完作「石の聲」に徴して(渡邊澄子)
〈沖縄文学〉の女性作家たち(与那覇恵子)
コラム・ウーマンリブと第二波フェミニズムの展開(阿木津英)
男女雇用機会均等法(松田秀子)
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