■黒田俊太郎著
『「鏡」としての透谷――表象の体系/浪漫的思考の系譜』■
2018年12月10日 翰林書房刊 274頁 3600円+税
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序章 「鏡」という技術
一、〈想像的蘇生/想像的同一化〉
二、「統一性の原理」としての〈作家〉
三、戦後の文学史記述における空白 /
第Ⅰ部 表象の体系としてのアンソロジー
第一章 明治三五年版『透谷全集』――その「商品」性と流通ネットワーク
一、出版社の戦略的意図という問題機制
二、契約書と奥付が語る『透谷全集』出版の経緯
三、『透谷全集』の形態とその意味
四、「文壇」を表象する装丁――高山樗牛「明治三十四年の文芸界」
五、『透谷全集』宣伝広告の戦略
六、『透谷全集』を取り巻く〈出版界〉の状況
七、博文館特約店ネットワークと三木露風
第二章 明治三〇年代後半、〈文学〉化されゆく手紙――「透谷子漫録摘集」を起点として
一、〈作家〉のリアルな「像」
二、「手紙文学」「手紙小説」――「公衆に向つて書く」「アート」としての手紙
三、〈古人/今人〉という分割線=歴史的断層
四、〈文学〉化されゆく手紙
第三章 成型される透谷表象――明治後期、〈ヱルテリズム〉の編成とその磁場
一、〈無名〉の読者
二、藤野古白のピストル自殺と〈ヱルテル〉という社会的記号
三、再生産される〈透谷像〉――物理的装置としての『透谷全集』
四、藤村操〈華厳の瀧投身自殺事件〉をめぐる言説と〈美的生活論〉の磁場
五、明治四〇年代における自然主義〈実行派〉と〈青年〉
第四章 透谷を〈想起〉するということ――昭和二年、『現代日本文学全集』刊行をめぐって
一、〈文明批評論争〉とその歴史的位置付け
二、『樋口一葉集・北村透谷集』に見る出版資本主義革命
三、〈個人的/社会的〉自我の系譜と透谷――佐藤春夫「壮年者の文学」を起点として
四、抵抗の文学史の起点――プロレタリア文学と透谷
五、反近代主義者〈透谷〉の争奪戦 /
第Ⅱ部 日本浪曼派と〈透谷〉
第五章 中河與一の〈初期偶然論〉における必然論的側面
――小説「数式の這入つた恋愛詩」の分析を通して
一、〈永遠思想〉の萌芽的思考としての〈初期偶然論〉
二、アインシュタインの「新学説」との邂逅
三、二つのモダニズム建築論①――コルビュジエ
四、二つのモダニズム建築論②――構成主義
五、〈機械〉への反措定――〈非科学的〉な必然論
六、書き込まれた一つの偶然
第六章 戦時下日本浪曼派言説の横顔――中河與一の〈永遠思想〉、変奏される〈リアリズム〉
一、戦後における〈戦争協力者〉の黙殺
二、文芸復興の呼び声と〈偶然文学論争〉
三、〈リアリズム〉論としての〈偶然論〉、あるいは「永遠」論
四、「永遠」論から〈永遠〉論へ――『万葉の精神』『日本の理想』
五、「作品」から「民族」へ
第七章 彷徨える〈青年〉的身体とロゴス―三木清〈ヒューマニズム論〉における伝統と近代
一、〈日本的なるもの〉に関する論議の〈起源〉
二、諷刺画「迷ひ子」
三、「主体的中心」の喪失と不安
四、「乖離」する〈青年〉の〈身体/精神〉
五、「心境」という「心の技術」の超克――「伝統」の二つの側面
六、〈日本的なるもの〉に関する論議へ
第八章 〈偉大な敗北〉の系譜――透谷・藤村・保田與重郎
一、藤村のアジア主義
二、文芸懇話会・新日本文化の会
三、透谷会――設立の主導者中河與一の理念
四、日本浪漫派周辺の〈日本的なるもの〉論
五、透谷の闘った〈戦争〉――保田與重郎「明治の精神」
六、エトランゼエというイロニー――島崎藤村「海へ」
七、本書のおわりに――藤村の〝不確かさ〟に向けて
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