■日高佳紀著『谷崎潤一郎のディスクール 近代読者への接近』■
2019年9月30日 鼎書房刊 307頁 3500円+税
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序章 谷崎文学をディスク―ルとして読むために
1 ディスクールと読者
2 消費される文学、あるいは〝文学の危機〟
3 〝歓楽〟としての読むこと
4 本書の構成と内容
第Ⅰ部 メディアを横断するエクリチュール
第1章 通俗からの回路――「お艶殺し」の図像学
1 表象のコラボレーション
2 テクストの様式化と逸脱化
3 もうひとつの物語世界
4 千章館から新潮社へ
第2章 メディア戦略とその不可能性――「武州公秘話」と読者
1 『新青年』というメディア
2 内包された〈秘密〉
3 歴史への意識
第3章 テクストの臨界――「細雪」の読まれ方
1 身体の非在
2 〈母〉としての表象
3 発禁のテクスト
4 有閑マダムの戦中と戦後 /
第Ⅱ部 コンテクストとしての消費文化
第4章 資本と帝国――「小さな王国」の学校制度
1 小学校教師の大正期
2 職業と階級
3 王国と革命
4 資本の制覇
第5章 サラリーマンと女学生――「痴人の愛」における〈教育〉の位相
1 学歴と社会資本
2 結婚とハビトゥス
3 〈学内〉の内と外
4 女子教育と音楽
5 譲治の〈教育〉認識
6 歌声の近代 /
第Ⅲ部 歴史へのパースペクティブ
第6章 大衆としての読者――「乱菊物語」の方法
1 大衆読者の発見
2 伝説を語る者たち
3 群集としての大衆
第7章 メタヒストリーとしての小説――「「九月一日」前後のこと」から「盲目物語」へ
1 アイロニーとしての〈小説〉
2 年代記という仕掛け
3 コンテクストとしての〈歴史〉
4 大衆小説と歴史小説
5 「盲目物語」のナラトロジー
6 傍系挿話の機能
7 〈翻訳〉としての物語
第8章 歴史叙述のストラテジー――「聞書抄」のレトリック
1 材料としての〈歴史〉
2 新聞連載から単行本へ
3 削除された冒頭部
4 単行本テクストにおける〈歴史〉
5 〈歴史小説〉を生成すること
6 複数の声をめぐる物語 /
第Ⅳ部 翻訳行為としての読むこと
第9章 古典と記憶――「蘆刈」における〈風景〉のナラトロジー
1 読まれる〈風景〉のリアリズム
2 淀の中洲、幻想の舟行
3 お遊表象のゆくえ
4 劇化する主体
5 記憶の中の「遊」女
6 物語の他者
第10章 文体と古典――『源氏物語』へのまなざし
1 源氏への「にくまれ口」
2 構造的美観と『源氏物語』
3 「谷崎源氏」への過程
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