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金ヨンロン・尾崎名津子・十重田裕一編
『「言論統制」の近代を問いなおす 検閲が文学と出版にもたらしたもの』


2019年5月25日 花鳥社刊 221頁 3200円+税


はじめに――私たちは「残骸の向こう側」を見ている(尾崎名津子・金ヨンロン・十重田裕一) 

1 戦前・戦中期の出版警察体制から図書館への影響
  ――県立長野図書館、静岡県立中央図書館の事務文書に見る検閲制度運用の一側面(牧義之)
   警察によって差し押さえられた出版物
   書庫に忘れられた事務文書(県立長野図書館)
   廃棄予定だった事務文書(静岡県立中央図書館)
   図書館史、文書資料を繋ぎ合わせて見えてくること
   記録を読み、活用すること 

2 大衆の〈国民〉化に影響を与えた戦時下の児童文化統制
  ――佐伯郁郎と「児童読物改善ニ関スル指示要綱」(村山龍)
   大衆から〈国民〉へ
   佐伯郁郎という人物
   「指示要綱」の作成はいかにして始まったか
   「指示要綱」の成立過程に関する発見
   「指示要綱」から削除された「推奨制度」
   「今次聖戦」という文言の削除と『赤い鳥』への共感
   「指示要綱」とは何だったのか 

3 岩波文庫に対する検閲処分(尾崎名津子)
   岩波文庫の理想と現実
   岩波文庫に対する処分
   出版社を起点とした検閲研究の可能性 

4 占領期における検閲主体の読書行為
  ―東京裁判言説の検閲内容をめぐって(金ヨンロン)
   検閲主体の読書行為はいかに捉えられてきたか
   東京裁判と検閲という視座
   検閲主体の揺れ:東京裁判を描いた文学――中山義秀「迷路」を例に――
   反復される状況と思想的課題
   検閲主体とその読書行為を捉えなおす 

5 在日朝鮮人文学と自己検閲
  ――GHQ検閲と在日朝鮮人コミュニティーの狭間にいる「編集者・金達寿」の葛藤を考える(逆井聡人) 
   「自己検閲」の範囲
   金達寿が回想する「検閲の苦労話」にある矛盾
   在日朝鮮人に対する検閲に関する先行研究
   金達寿の自己検閲
   視線の内面化
   精神史としての「自己検閲」と今後の展開

〈ラウンド・テーブル〉 見えざる〈統制〉に近づくために
              (尾崎名津子・金ヨンロン・逆井聡人・牧義之・村山龍)
   複雑な検閲プロセス―従来の分かりやすい図式を解体する
   論じる側の政治性と時代が反映される
   「規範の内面化」とは?
   検閲者の「読み方」
   大衆も検閲する
   世界情勢によって変わる検閲の規範
   個人に焦点を絞った検閲研究の可能性
   コミュニティの内部圧力による自己検閲・自主規制
   書き手に及ぶ身の危険
   異なる権力の共同歩調―佐伯郁郎と阪本越郎
   「統制」の中の「推薦」制度
   遡及的・事後的検閲
   リアル『図書館戦争』
   著作権との関係
   検閲がテクストに何を残したのか
   岩波文庫がもつ特異性
   図式に捉われない検閲研究へ

 英文要旨(英訳 ソロモン・ジョシュア・リー)



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