■山本亮介著『小説は還流する――漱石と鷗外、フィクションと音楽』■
2018年3月30日 水声社刊 274頁 4000円+税
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I 第一章 「吾輩は猫である」――「語り手」という動物
1 〈語る猫〉という虚構
2 猫に擬装して語る作者?
3 猫/作者から〈動物〉の言語行為へ
4 「語り手」という〈動物〉
5 小説の言語行為と〈動物〉への生成変化
第二章 「心」――行為の主体/罪の主体
1 行為主体の形成と「後悔」
2 原―行為と世界の変容
3 「機会」をめぐる心的機構
4 過去の自分を主体化すること
5 罪と自由の倫理学
第三章 「明暗」――お延と漱石の不適切な関係
1 作者/主人公、男/女の小説言説
2 母の身体とお延‐娘の語り
3 愛の言説から娘のメランコリーへ
4 異性装の文体に生じた言説のトラブル
第四章 「うたかたの記」――初期鷗外の美学とヴァーグナー
1 「うたかたの記」における音楽
2 鷗外のヴァーグナー言及
3 初期鷗外の美学における散文芸術の課題
4 楽劇を憧憬する小説、歌われない歌詞
第五章 「ヰタ・セクスアリス」――権力と主体
1 性・告白・権力
2 「主体化=服従化」する「金井君」とその心的機構
3 検閲・禁止する権力と作品/作者の形成
4 主体の文法と作者の身振り
第六章 「青年」――小説における理想と現実
1 鷗外のシュティルナー言及
2 理想化される個人主義
3 〈この私〉が生み出す「事実」
4 「極端な個人主義」における表象不可能なもの /
Ⅱ 第一章 奥泉光「シューマンの指」――音楽の「隠喩」としてのメタミステリ小説
1 「鳥類学者のファンタジア」から「シューマンの指」へ
2 「シューマンの指」の音楽観と作品構造
3 ロラン・バルトの音楽論
4 メタミステリ・音楽小説・「隠喩」
第二章 村上春樹「1Q84」、「色彩をもたない多崎つくると、彼の巡礼の年」――小説世界の音楽
1 音楽作品の存在様態
2 小説世界内音楽とその「同一性」
3 音楽の「顕現」と複数の〈演奏―音盤〉
4 音楽の固有名・個体性と小説世界の観念―経験的受容
第三章 古川日出男「南無ロックンロール二十一部経」――動物とロックンロール
1 古川日出男における動物と音楽
2 歴史への贖罪、ロックンロールと輪廻転生
3 「奇蹟」をめぐる思索、「境界領域」への文学的想像力
第四章 文学という不遜、虚構の現在――奥泉光の戦場
1 高橋源一郎「官能小説家」
2 宮部みゆき「蒲生邸事件」
3 奥泉光「石の来歴」
4 奥泉光「グランド・ミステリー」
5 奥泉光「浪漫的な行軍の記録」
6 現代作家の〈倫理〉
第五章 闘争/暴力の描き方――現代小説ノート
1 村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」・「海辺のカフカ」
2 伊坂幸太郎『魔王』
3 古川日出男「サウンドトラック」
4 池上永一「シャングリ・ラ」
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