■安志那著『帝国の文学とイデオロギー・満洲移民の国策文学』■

序章　膨張し続ける帝国の文学――忘却と誤読の文学を読み返す　
１　満洲移民の国策文学　
２　先行研究の検討と研究の意義　
３　方法と構成　

第１章　満洲建国イデオロギーの諸相と限界――在満日本人の心情と防御の論理　
１　関東軍の満蒙領有論と満洲移民構想　
２　満洲青年連盟と民族協和　
３　橘樸と王道　
４　建国理念の排除と「八紘一宇」　
５　満洲国の残照　

第２章　国策文学の「越境」――国家統制からの逃避と亀裂　
１　国策文学の形成と展開　
２　農民文学懇話会と国策協力の論理　
３　大陸開拓文芸懇話会と満洲移民政策の肖像　
４　国策団体の「越境」　

第３章　朝鮮人の満洲移民の記憶と帝国の在り方――張赫宙『開墾』論　
１　植民地作家と万宝山事件　
２　朝鮮農村社会の再構築の夢　
３　水田開発の二重性　
４　「居留民保護」の矛盾と限界　
５　「帝国臣民」と民族　

第４章　武装移民の逆説――湯浅克衛「先駆移民」論　
１　日本人移民者と土竜山事件　
２　武装移民の「出征」と「宣撫工作」　
３　「保護」と「討伐」の境界　
４　土竜山事件と「先駆移民」の結末　

第５章　「包摂」と「排除」の満洲移民――打木村治『光をつくる人々』論　
１　農民文学と「ロマンチック」な開拓　
２　武装移民の「開拓」と征服　
３　「大陸の花嫁」と「建設」　
４　日満親善と混血児　

第６章　農村問題解決から戦争遂行への傾倒――和田伝『大日向村』と徳永直「先遣隊」　
１　日本人移民者の優秀性と精神疾患――徳永直「先遣隊」論　
２　日本農民文学の合理性――和田伝『大日向村』論　

終章　国策文学の限界と可能性