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中澤千磨夫著『精読 小津安二郎 死の影の下に』


2017年6月30日 言視舎刊 247頁 2200円+税


まえがき、あるいは映画という書物

Ⅰ 死の影の下に
第1章 『父ありき』――死者の集合性、あるいは「無」へ
死の物語/写真の暴力、死の暗示/生徒の水死/『秋刀魚の味』にちと脱線――「サカナ偏にユタカ」という井阪徳一の指摘/秋田へ、秋田へ/小津の花嫁たち/親子丼とライスカレー/「殺生が好きで困る」/重畳する死者たち/迫りくる死の影/カット、カット、カット/ラジオ体操というルーティーン/高橋秀実の体操論から『東京の合唱』へ/良平のかなわぬ恋――『会議は踊る』/「海ゆかば」という鎮魂、そして記憶の継承

第2章 『宗方姉妹』――ドン・キホーテの運命、あるいは激発する暴力 
幻のノーベル賞から/宗方姉妹ってどう読むの/歳の離れた「きょうだい」/ATOMIC BOMB/節子の流行観/「大きいお尻」/サボテン、苔、そして落花する椿/建築家・アントニン・レーモンド/「暗い影」帯びる山村聡の肉体/大佛次郎の書き加え/日本女性が大の男をリンチ/満里子のプロポーズ/前島五郎七という特攻隊/激発する暴力、あるいは満州というまぼろし/評価が低かった作品たち/竹岡和田男の映画ノート/「新らしい形の日本人」/ドン・キホーテの運命 

第3章 『麦秋』――死者の眼、そして麦穂の鎮魂 
伊藤冝二の音楽/「埴生の宿」/間宮家の人々/エチケット論議/「やわらかいおいしいご飯」/「鯛の浜焼き食おじゃなし」/「河内山」/重畳する縁談/善通寺/「昔の味」/土浦・宇都宮/省二という不在/振られた小姑/九百円のケーキ/次男の問題/リケッチア/セクハラ?/結びの麦の穂/砲兵学校/アンパンと家族の屈託/コカ・コーラ/古風なアプレ・ゲール/紀子の嗚咽/鎮めの麦の穂 

第4章 『東京物語』――死の影の下に 
「世界の」小津安二郎/人生という乗り物/旅の物語/消毒スタンドの謎/「変なもの」/デパートという聖地/予兆/はとバスに乗る/「東京のバスガール」/昌二は死んでいるか/「思いがけのう」/死の影の下に/行き場を失う/「軍艦マーチ」/紀子のもの思い/墓に布団も/東京滞在/ハハキトク/臨終/形見/自分の生活/「ずるいんです」/死の影に生きる

Ⅱ 小津安二郎と戦争 
第5章 「敗けてよかった」再考――小津安二郎の戦争・序説 
「軍艦マーチ」/孤児と復員兵/二人のショージ/山中貞雄という死者/湯山鎮の朝/何を見たのか/「敗けてよかった」再考 

第6章 「敗けてよかった」三考――小津安二郎「海ゆかば」と「軍艦マーチ」のあいだ
中国であわや拘束/まぼろしの小津安二郎戦跡再調査/津村秀夫の『父ありき』批判/国民映画『父ありき』/文部大臣賞落選/「海ゆかば」の使用は滑稽か/「海ゆかば」から「軍艦マーチ」へ 辺見庸の小津批判/津村秀夫・辺見庸を越え、日本語の方へ 

第7章 小津安二郎の見つめた戦争 
はじめに――研究テキストとしての小津安二郎/二〇〇五年三月上海・南京・開封・徐州/二〇一二年三月上海・南昌・九江・盧山・修水河・永修・南昌・喩家・南京/『風の中の牝鶏』、『麦秋』、『東京物語』、『秋刀魚の味』など――階段、麦の穂、「軍艦マーチ」/おわりに――中国人女性から突きつけられた問い 

あとがき、そして死者たちの召還


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