■篠崎美生子著
『弱い「内面」の陥穽――芥川龍之介から見た日本近代文学――』■
2017年5月6日 翰林書房刊 446頁 3800円+税
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序章「弱い内面の発見」と「鼻」――誰の心を忖度するのか―― /
第一部 「物語」と〈疎外〉
第一章 「物語」化がもたらす〈疎外〉
第一節 「物語」化とジェンダー――ミソジニーの再生産――
第二節 「南京の基督」――「無垢」を「悪女」に読みかえる――
第三節 「奉教人の死」――ろおれんぞを奪いあう語り――
第二章 「物語」化へのノイズ
第一節 「六の宮の姫君」――ずれていく「内面」の「物語」――
第二節 「蜃気楼」――小さな「物語」群の意味――
第三章 二項対立の「物語」
第一節 「羅生門」――排除する/される「物語」――
第二節 「蜘蛛の糸」――非「勧善懲悪」をあおる語り――
第三節 「藪の中」――近代の「規範」の桎梏―― /
第二部 「物語」とメディア
第四章 借景するテクスト
第一節 「枯野抄」――「松尾芭蕉」の近代化――
第二節 「内藤丈草」の季節――「物語」の剥奪と付与――
第三節 「開化の殺人」――新富座の幽霊
第五章 「芥川」をつくったメディア
第一節 「芸術」をめぐる戦略と自殺――tellingによる「私小説」――
第二節 『新潮』の戦略――ポスト自然主義アイドルの座――
第三節 『大阪毎日新聞』の戦略――夕刊一面に求められたもの――
第六章 「上海游記」をめぐる時間と空間
第一節 『大阪毎日新聞』と「上海游記」――再生産される「支那」の表象――
第二節 「上海游記」にあり得た可能性――芝居・同文書院・李人傑―― /
第三部 〈疎外〉に抗して
第七章 研究の中の〈疎外〉
第一節 「芥川」研究の文法――悲劇の『天才』像が抑圧するもの――
第二節 「私小説」を語る言葉――叩く者と守る者との共犯関係――
第八章 行きどまりの装置
第一節 「母」を殺す言葉のために――「杜子春」から笙野頼子「母の発達」へ――
第二節 〈娘〉の負い目の物語――〈原爆文学〉からアダルト・チルドレン小説へ――
終章「物語」のさらなる破壊へ
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